企業が求める、対話をつくる。
入社式の新メニューに“共創ダンス”はいかがですか?
昨日(27日)、宮崎市に本社がある「米良電機産業株式会社」の入社式がありました。
ダンスを通じて、ビジネスに必要不可欠な
「伝える力」「受け入れる力」「協働する力」を育成しよう
社員の創造性とコミュニケーション能力の向上に資する“共創ダンス”の企業研修
1.はじめに(背景)
コミュニケーションに関する能力を求める社会的要請の高まりを受け、文部科学省が、2010年にスタートさせた新事業が「児童生徒のコミュニケーションの育成に資する芸術表現体験事業」(現在の事業名は「コミュニケーション能力向上事業」。以下、「新事業」という。)でした。その背景には、
経済協力開発機構(OECD)では、子どもたちに必要な能力の一つとして「多様な社会グループ における人間関係形成能力」を挙げたこと
諸外国では、クリエイティブな活動をする実践家やアーティストが学校でワークショップ型の授業を行い、子どもたちの創造性やコミュニケーション能力等を育む機会を儲けている事例が多く見られ、成果を上げている
等がありました。当時、創造性とコミュニケーション能力の育成に資する「創作ダンス」の再見・推進に携わっていたダンスカンパニー「んまつーポス」(代表:豊福彬文)も、2011年に、新事業に参画することができました。それから11年間、いくつもの団体が淘汰される中、毎年度この新事業に応募・受託し、県内外の学校で「んまつーポスの創作ダンス」を実施してきました。
2.実践研究
新事業により、“多様な社会グループにおける人間関係形成能力”を向上させた児童生徒がいる一方で、 その恩恵に与ることができずに社会人になってしまった元児童・生徒も少なくありません。さらに近年は、新たなイノベーションを起こすために、上司にも、丁寧なコミュニケーションを通じて、部下の潜在能力を見いだし、その能力が開花するようにサポートする力が求められるようになりました。
そこで、一般社団法人北上文化創造の協力の下、北上市の企業を対象に、中学生で「創作ダンス」を体験したことがある大人(その多くは女性)をはじめ、体験することができなかった大人(その多くは男性)に、「創作ダンス」を追体験してもらい、学校教育が育成しようとしている「自己を確立しつつ、他者を受容し、多様な価値観を持つ人々と共に思考し、協力・協働しながら課題を解決し、新たな価値を生み出しながら、社会に貢献することができる個人」について、共に考えながら、ビジネスに必要不可欠な「伝える力」「受け入れる力」「協働する力」の育成に資するワークショップを実践研究しました。さらに、研究の上位目標を、“「創作ダンス」が多様な価値観が存在する国内外の企業研修の必須メニューとなる”としました。
【実践1】(株)近藤設備 ※設備系の関係者なら誰もがその名を知っている企業
対象:20代~50代の男女社員28名
日時:6月17 日(金)10:00〜11:30
会場:今秋オープン予定の新施設ザ・キャンパス(北上市と奥州市にまたがる丘陵地に在るキャンプ場)
プログラム名:『だだだだ・だ』 90 分間で「踊って、創って、撮影して、編集して、鑑賞して、興奮して、解散する」をパッケージとした「んまつーポスの創作ダンス」
企業が期待した効果:①社員同士のコミュニケーショ向上 ②新施設のPR
【実践1】(株)小田島組 ※近年急成長している企業。社員は平均年齢27歳。
対象:新入社員24名(新卒22、中途2)、希望者4名
日時:6月17 日(金)15:00〜16:30
会場:O2(オーツー)/新社屋のイベント貸しスペース(地域の交流地点)
プログラム名:(株)近藤設備と同じ
企業が期待した効果:①新入社員研修の一環 ②映像作品を企業PR及び7月の経営企画発表会(全社員200人が集まる)で活用する。
3.結果及び今後の課題
結果に代えて、参加者及び企業研修担当者に実施したアンケート調査の回答(自由記述)を抜粋して以下に示します。※ ◯は参加者の回答、◎は研修担当者の回答
◯ 限られた時間の中で、意見を出し合い自分たちの正解を作り出して行くという活動はなかなかできるものではない。結果が失敗だとしても、その失敗すら別の視点で見たら正解になるという考えは大事にしたいし、ダンスという普段やらない運動も、脳の活性化につながる良い刺激となった。
◯ 同期の意外な一面も見られ、新しい人と関わってゼロから創造することがこんなに楽しいと思いませんでした。体を動かしコミュニケーションをとることでさらに仲も深まりました。
◯ 今後このようなワークショップがあればぜひ参加したいです。
◎ 新しい風を感じました。始まりは、重い表情のメンバーでしたが、皆、最後は爽やかな表情になっていました。
◎ 通常の仕事上でも部下への指示が上手く伝わらないことが、度々あります。あの短時間で指示したことを実行させることが出来ることが凄いと感じ、仕事にも取り入れられたらと思っています。
実施したパッケージの商品化のために、「料金20万円(旅費別途)でも実施したいですか」と質問したところ、どちらの企業の回答も「実施したい」でした。
今後の課題は、「創作ダンス」を企業研修×コミュニケーションのトレンド(検索ワードランキング1位)にすることです。そのために、地域の大学や企業・官公庁・公社・団体等の協力の下、多様な業界の企業研修モデル(適正な料金等)をデザインし、「見える化」した成果をSNS等で情報発信します。