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歴史小説「Two of Us」第4章J‐27

割引あり

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~

第4章 On A ”SABO Tea Room” About Some Last Scenes 


J‐27

 1642年ヨーロッパでは、イングランド・アイルランド・スコットランドでの、「ピューリタン革命」が勃発している。いわゆる市民大衆の宗教信仰の自由や弾圧への内乱としての革命である。その後、大英帝国は飛躍的に世界進出を果たして行く。武闘の争いでなく、経済や産業の侵攻が主戦略である。

 同じ頃、日本国の九州の地では何が起きていたか。。。❓
 武士の帯刀は政治の主導者としての証のみであり、戦いで斬るものではない。理由なく銃刀を振り回す者は処刑されてもいた。【元和偃武】が浸透して来た、穏やかな泰平の世なのだ。


 寛永拾八年神無月(1640年10月)、肥後藩熊本城主細川忠利は、嫡男光尚(みつなお)を帯同し、八代城北ノ丸の茶房を訪れていた。

「父上が毎日、この茶房に籠って出て来ぬと、立孝から伺い申しました。
 いかがお過ごしか❓」

 忠興は、高田焼の抹茶茶碗を愛でながら、答える。
「いや、、、持病の癪がまた、ぶり返しておる。今は落ち着いておるがの。
 この静けさの中に身を置いておるとな、それがし、もうあの世に来ているのか❓とな。ふと、感じてしまう事さえ有るのじゃ。
 だがあいも変わらず、生きておる。生きて、この茶房で高田焼を眺めておるのぞえ。。。」

 元服して3年経つ忠興の嫡孫光尚が、勢い込んで声をかける。
「じじさま、朗報でござります。
 大政所ガラシャ珠子様が、生きておいででござりまするっ!!
 じじさま。旅をなさりませ!」
「なんや!?何事じゃ。旅とは❓
 話が見えぬ。珠子が生きておるとは❓それこそそれがし、あの世の迎えが来たかの❓」

「さにあらず!父上。肥前の半島まで旅をなされませ。『今頃は、島原素麺の天日干しの組材が並んで、それはそれは好い眺めぞ!』と、長崎奉行殿が仰せでござる」
「なんと!島原におるのかえ❓」
「さにあらず。もう御年ゆえ、長旅は最後かもしれませぬ。お供を寄越しますれば、今一度、大村湾へ旅を!」
「、、、あいわかった。世の中、旅が大流行じゃ。
 それがし、毎日退屈で死にそうじゃ。あ、イヤ夢であの世も観て来たがの、そこも現世よりも退屈そうじゃ。生きておるうちに再度、旅をするかの❓のう、光尚⁉」
「御意!」

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