小学校英語って
小学校英語、最後の授業が終わった。
病気療養のため、小学校英語一旦お休み。次に小学校に行く時、現場はどう変わっているのだろう。2011年から携わって、現場にいてもその環境が年々悪化していることを感じた。
講師でありながら「英語をしている場合か?」と思うこともあれば、逆に「英語の時間が救いになることもある」と思うこともあった。
2010年。小学校英語指導者の研修時に言われた「(何もジャッジされない)英語の時間だからこそ、無条件で褒められる時間になり得る」という言葉をずっと心に留めて関わってきた。
(笑ってるだけでも)おっ、いい笑顔!
(手をあげたけど答えられなかった)ナイストライ!
(テキスト忘れたって言ってきた)言ってくれてありがとう。じゃ、その分しっかりスクリーン見ててね。
(全然違う答え)あ、そう思ったんだね。それもいいなぁ〜。
(私の間違い指摘)あぁ〜助かった!よく気付いたね。ありがとう。
(先に答えを言っちゃう人)「知ってるって先生に伝えたい!」って気持ちを顔に込めて、先生に見せてくれるかな。そしたら先生「お、この人はわかってるんだな」ってすぐに気付くから。その間、他の人も考えられるよね。
(答え言わない分、すっごくドヤ顔してきて可愛い)
絶対に否定しない。トンチンカンなことを言う子がいても、私が喜ぶからクラスの子たちも馬鹿にしなくなる。
「今その話じゃないじゃん!」とかじゃなくて。「テキスト進みましょうよ」とかじゃなくて。今ここにいて言葉を交わすこの時を一緒に大切に過ごすことが一番のテーマなんだから。正しい答えを探している間に自分の本当に言いたいことを見失うのが本当は一番怖いんだから。
英語の文法に詳しくても、テストで間違えなくても、話したい内容が自分の中になかったら、会話は成り立たない。海外バックパッカー生活で、それを嫌と言うほど感じたから、私が伝えたいのは「自由に話し合える」この場。それが小学校英語の意味だと今も信じてる。
変な先生だったと思うけど、最後にもらったメッセージ集に書いてあった「先生はいつも笑顔ですごいと思った」とか「いつも楽しい企画を考えてくれてありがとうございました」とか。「遊んでいる間に英語と仲良くなれてた」っていうのは実は私の一番の狙いで、それしか出来ない私だから、嬉しかったな。
いつも笑顔だったのは、本当に楽しかったから。楽しい企画を思いつくのは楽しんでくれるみんながいたから。子どもたちにはいつも感謝ばかり。
「先生が英語で話している時カッコいいなって思ってました」って。時々、習った言葉だけを使ってみんなに伝わる様に英語だけで話をしてみたっけ。しばらくうーんと考える時間を取ってから「全部理解しなくていいの。私の顔見て声聞いて、あ〜こんな話してるのかな〜って思えたら、それがみんなについた力なんだよ」(言葉のカン)
「最初は英語なんて無理って思ってたけど、出来るようになりました」とか「嫌いだったけど、英語をもっとわかるようになりたいと思いました」とかは何気に一番多い感想だったかも。得意な子がどうしても目立ちがちだけど、実際は不安を抱えて外国語に触れてる子の層が厚いんだよね。
私なりのフィールドワークを重ねて、小学生はもちろん、その保護者や英語が得意な子、苦手な子の話をたくさん聞いて感じた「なんて言ってるかわからんことをずっと言われるのが苦痛」。それを逆手に取った言葉がけやチャレンジに丁寧に取り組んだ。
とにかく小学校の良さは、いろんな人がいることだった。自分の英語教室は英語に多少なりとも興味がある子がいるところ。でも小学校は英語に全然興味ないどころか、自分には無理無理って子もいっぱいいるところ。
「この中には『英語なんて要らんよ』って思ってる人もいたかも知れないね。でも1年間先生と遊んでくれて、ありがとね。みんなは気付いてないと思うから言うけど、1年前にみんなと会った時から今日までの間で、みんなの中で英語の力がググってものすごく上がってるのを先生は感じてる。一人一人そうだよ。
そしてこの中にもし「英語を話したい!」っていうタネを持ってる人がいたら、それは諦めさえしなければ絶対花が咲くから、大事に育ててね。テストで嫌な点取ったりすると、諦めたくもなるけどさ。でもね。先生は諦めきれずに大人になってから英語を話せる様になったんだけどね、もんのすごく楽しいよ。いいことばっかり。だからね、みんなに『こっちにおいでよ』って言いたくて先生になったの。いつでも待ってる。こっちにおいでね。」
子どもたちがブンブン頷いているのが見える。でも私は知ってる。きっとみんなはこっちに来るどころか、私を軽く超えていく。英語だけじゃない。いろんな分野で。それが嬉しくてこの仕事をしているんだ。
社会的にどうとかお金になるとかならないとか、そういうことじゃなくて。みんな私を超えていけー!そしていつかどこかで出会えたら、今度は一人一人の話を聞いてみたいな。
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