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ママ友に違和感のある人

 子どもが幼い頃、尋ねられた。
「どうして母さんにはママ友がいないの?」
 
 なるほど。子どもに悟られていたとは。でも私が努力をしてみたことや、やっぱりそこから一歩引くことに決めたことは、子どもが大きくなるまで話さなかった。当時はなんて返事してたっけ、忘れた。今度聞いてみよう。

 そう、私だって努力はした。でもいつでもどこでもママ友の輪に入るとしっくりこない。みんなが「〜ちゃん」って呼び合っていて楽しそうだから、私も仲良くなった人に「Namioって呼んで」って言ってはみるけど、呼び方だけは変わるもののそんなに距離は近付いた感じがしない。
当時は漠然と「私はあまり人から興味を持たれないんだ」と解釈して淋しい気持ちになりつつも輪の端っこにぶら下がっているようなお付き合いを続けていた。
 それが子育てをしながら自分に向き合う中で、「これは私自身の問題なんだ」ということにうっすら気付き始めた。私は無駄に人の悪口を言いたく無い。自分のコミュニケーションのために誰かを犠牲にしたくはないのだ。学校や先生の悪口を言っている中に参加してみたこともある。ただ、家に帰ってからの後味の悪さがたまらない。自分にとってはどうでもいいことでも、大げさに言ってしまった。言わなくても良いことを言って自分で自分を苦しめた。性に合わないんだ、そんなものの引き換えに得る友達なんて要らない。そう気付いた。

 でも、人といて良い刺激をもらうこともある。母親同士分かり合えることもある。まれにだが、同じ様に一匹オオカミ的に存在するママと仲良くなるとその人とは子どもや周りの環境ではなく自分自身の仕事や経験を話題に出来て楽しかった。その人も同じ様な理由で他の人と一緒にいないことを選んでいた。そんな人を見落とすのも残念なので、私はいろいろな活動に参加しながら人と出会っていくことにした。PTAや保護者会をうまく活用した。何かすべきことがあるついでに人と会う。期間限定のお付き合いだが、意外と「母親同士じゃなくてもこの人とは出会うべくして出会ったのかも」と思うソウルメイト的な人との出会いもあった。

 そうして出会いを重ねていく中で自分にとって良い出会いと、避けたほうが良い出会いをより強く感じることが出来るようになった。きっと友達なんていらない、と引きこもっていればその感覚を研ぎ澄ますことも出来なかったかも知れないので、皮肉だけどこれも良しとする。
 そうやって、私の「ママ友との付き合い方」は確立された。基本は何かの用事で会う。自分がこの人ともっと話したい、と思った人とは個人的に付き合うことにした。グループには属さなかった。仮に勝手にメンバーにされていたグループがあっても、仕事を理由にスーッとうまく抜けた。

 その内にママ友問題の相談を多く受けるようになった。私はどこにも属さないから、安心感があったのかも知れない。聞くとそのお付き合いは百害あって一利なし、と思うものが多い。一人の強い人に支配される形をよく聞く。その人の言うことは絶対。ママたちはその言葉通りに動く。
 ママ友ソサエティから一歩外れた私から言わせてもらうと、『自分と子どもたちの人生の大事な時間、そんな誰かのために使うなんてもったいない。私だったら1秒たりとも関わりたくない。』
 でもそういう強いボスママは、なぜか怖い魅力を持っている。天性の心理学テクニックを持っているのかと言う程に、時に心配して寄り添い、時に横暴になって言うことを聞かせる。一歩引いてみると「人が自分の言う通りに動くことを楽しんでいる」=「人を動かすことで自分の存在を確認している」のだとすぐにわかる。そう思うと、今まで自分にかかっていた魔法が解ける感じにならないだろうか。「あの人は私のためを思って言ってくれている」と思うから絶対服従してきたママたちも、一旦立ち止まることが出来るのではないだろうか。
そのママは正直あなたやお子さんのことなんて想ってません、と私は断言する。
 専門家として言わせてもらうと、もし相手のことを想っているのであれば、相手にしっかり届く様に相手の気持ちを確認しながら話す。
「いや、それは絶対に〜がいいって!」とか「絶対違うと思う」なんて強引に言わない。どんな素晴らしい専門家でも人のことを「絶対」で言い切ることはしない。決めつけはとても危険なことだから。

 だから、もしママ友に違和感がある人は、少し距離感を考えてみて欲しい。その「違和感」が大事。違和感をうやむやにすると、後から悔いることが生まれてくる。子育てなんて、時間は限られている。
どうか人に振り回されることなく、自分らしい子育てを。

 子育てをしていると、どうしても狭い世界の中でもがくことになる。今はネットもある。うまくネットの世界にも顔を出して、自分らしくいられる環境を作ってみることは可能だ。子育ての中で何を大切にしたいのか、子どもに何を伝えたいのか、自分の幼い頃を思い出しながらゆっくり考えてみたら良い。時に外野の声がうるさすぎて自分のことが見えなくなることがある。
だから自分と向き合う時間も大切に。あなたのその姿は、お子さんが同じ様に人との距離に悩んだ時のヒントになるのだから。

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