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なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない(読書感想文)

 心理学を学んでみて思ったのは、学ぶ前と変わらず「心は難解で複雑だ」ということ。最初はそれに軽く絶望した。多くの人が思う様に私も心理学を学べば、もっと心のことがわかると思っていたから。

 簡単に心を知ることは不可能だ、と学んだ私が知ったのは「向き合うことの意味」だ。どうせわからないのだから、と向き合わないのではなく、わからないかも知れないけど向き合ってみることの大切さ。

 学びと同じみたい。今すぐテストで良い点取るとか、今すぐ成績が上がる、じゃなくてじっくり向き合うことの面白さ。たとえそれがすぐに成果を出さなくても、その経験は心に積もっていく。自分をいつか変えるきっかけになる。

 なんでもついつい目の前の結果が出なかったら「ごめんなさい」って思うけど、長い目で見て諦めないことの大切さを感じたなぁ。

 そして何よりスーッと吸い込まれていく様な文章に、難しそうなケースや途中で読むのをやめてしまいそうな難解な問題でも、知らない間にスルスルッと読んでしまっていたこと。とても複雑で説明がつかない様なことをよくこんなにわかりやすく伝えてくださったな、と思うと感謝しかない。
 
 今まで同様、大切な人とは対話を重ねていきたい。時にうまく伝わらなくてもやもやすることもあるかも知れないけれど、その過程を大切にしたいと思った。

 読んでるだけで、なんだか心が凪いでいく良書でした。

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<心に残ったフレーズ・言葉>(順不動)

●僕らは今、ひどく孤独になりやすい社会で生きている。

●性格の良い悪いなんてのは、案外環境次第です。

●触れようとするから、傷つけてしまうのです。(中略)彼らはお互いのことを学び直していったわけです。

●複雑な現実をできるだけ複雑に生きることである。

●俺はバカだったけど、バカだと気づけたのならば、これから少しはましになれるかもしれない。

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