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弱くて強がるからハグする

 子どものすることはとても興味深い。でもじっくり見ていたら、それは大人がしていることと全く同じ時もあって、学び深い。
とにかく言葉を刃物の様に人に向けまくって、「やんのかオラ!」みたいな状態に持っていく子。実はとっても優しい子だって知ってる。でも優しすぎて壊れそうな心を持っていて。怖過ぎて自分を守るために自分を強く見せないと、と思っているみたいに見える。
 
 ひとしきり子ども達の様子を眺めてから、普段は全く隠れてしまっている私の権限を使う。私はこの教室の運営者で先生。でもレッスンを作るのはいつも子どもたち。細かいルールは敢えて無し。でも、私が掲げるルールが極端に少ないからこそ、子どもたちもすぐに覚える。それも私の狙い。あれもこれもなんて、大人だって無理でしょう。
今日はその私の教室のわずかなルールを、改めて子どもたちに確認した。

『あのさ、皆さんご存知の通り。この教室では授業中にお茶を飲もうがトイレに立とうが、うろつこうが本を読もうが私は全然気にしないけれど、一つだけお願いがあります。"人を傷つけるために言葉を使わないで欲しい。もしうっかり知らずに傷つけてしまったら、それは仕方ない。その場合は一緒に気づいたり学んだりしよう。でも最初からわかっててわざと人を傷つける道具として言葉を使うのは、止めてください"』
そして最後に
『ということはだよ。自分がそれをしなければ、自分を言葉で傷つけてくる人もいないってこと。安全な場所ができるやん』

 さっきまでふわっとしてたクラスが少しピンとして、みんなが「なるほど」みたいな顔して話を聞いてる。
うん。安全な場所が作りたいだけなんよ、私は。そしてその中であの、言葉の刃物を振りかざしていた子が一番その言葉を聞いてホッとした様な顔をしたのを見逃さなかった。

 怖かったんよね。
その子を心の中でギュッとハグした。

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