「愛着障害」なのに「発達障害」と診断される人たち(読書感想文)
こちらも尊敬するSNS友の方がシェアされていたので、即図書館に予約してゲット。タイトルから惹かれた。なぜかというと、私がこれをとても強く感じていたから。
この本の内容の取扱は、大変丁寧にされなければいけないと思う。著者は医学博士であり作家、そして精神科医の方で、本の内容はスパッと断定的な言い方がされている。全体を通して見ると、いろいろなケースが描かれているのだけれど、これを育児中に読んだりすると元気がなくなってしまいそう。
私は今この本を手にして良かったのかも知れない。
現代社会に揉まれて心を病んでしまう大人が多い中で、子どもたちは一番身近な大人の気持ちの揺れを感じながら育つ。親がしっかりしなくちゃ、なんて言われなくてもわかってる。でもしんどい時もあるっていうのが本音。
そんな本音を抱えながらも、私は*Education begins at home. だと思っている。(*教育は家庭から始まる)
私が問題視しているのは、社会。例えば不登校、例えば発達に問題があると言われた時に、親を悩ませない社会だったらいいのに、と心から思う。「障害」を作り出しているのは社会、とも言われている。
私がそれを一番強く感じたのは、学校。みんな同じことを同じくらいの速さとクオリティーで出来なきゃいけない、というのを子どもたちが感じている以上、それが出来ない人は弾かれる。そんな我が子を見て親が悲しみ、それが更に我が子を苦しめる。その悪い流れは、社会の優しい目で切ることができるのでは、と思う。
学校で支援が必要と言われる子と話した。普段ほとんど話さないその子が、誰もいない英語教室で「僕には希望がない」と言った。親がそう言った、先生がそう言った、と言った。その子はその言葉を受け入れるしかなかったのだ。
私も何か言いたかったけれど、口を開こうとすると、他の子どもたちが教室に流れ込んできて、その子はいつもの通り黙ってしまった。でもあの時私に何が言えたんだろう。時折思い出して考える。
あの時の私は、そこまで子どもの希望を失くした大人たちに腹が立った。でもきっと追い詰められた親は、諦めの境地だったのかも知れない。親を、子どもを、追い詰めてはいけない。
奇しくも、アルジャーノンに花束を、の次にこの本を読むことになり、私の心の中にまだかすかにひっかかっていたチャーリィーの根っこに、母親からかけられ続けた言葉や態度がどれだけ強く残っていたのか。そんなことを考えずにはいられなかった。
安心。やっぱりすべてのキーワードはそれだと思う。子どもはもちろん、大人だって。
「ありのままで」とか「大丈夫」って言葉に憧れる人は多くても、心からそれを伝えられる人は少ない。みんな「安心」を欲しがってるのに。