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ノウハウ

 教育に携わるから、というよりは我が夫我が子含めて人とより良く関わりたいと思うからこそ、私は既存の「当たり前」に自分を沈めてはいけないと思う。

 内田樹さんが著書の中で「毎日歯を磨く様に」という表現を使っておられて、それがとてもしっくりきたけれど。情報に触れる時に自問自答しながら鵜呑みにしたり長いものに巻かれない様に。それを毎日繰り返している。でないと、私も若い頃の様にその波に呑まれて溺れて自分を見失ってしまう。

 あれはもう嫌だ。あの時の自分が一番嫌い。

 ある時、先生同士の会話の中で「姿勢は大切。姿勢を正しくさせることが、学びを深める」という話になった。なるほど、と思って聞いていたけれど。その後教室に戻って姿勢を気にし出したら、子どもたちとの間がギクシャクし出した。

 そこで出会ったオーストラリアの先生との会話の中の一言『小学校にはソファとか床には寝そべられる様なマットがあるわ。そもそもこの間まで幼児だった子たちが、突然椅子に座って学習、とか無理があるでしょう?ハッハッハ』で自分の未熟さに嫌気がさした。違和感がありながら、結局私も簡単な目の前の「方法」に心を奪われていたのだ。

 この目で見る子どもたち、目の前の子どもたちとの関係を大切にしよう、と心に決めた瞬間だった。「こうすればこうなる」という型みたいなものを欲しがる人は多い。小学校でも「どうやってあの子たちと仲良くなったんですか」と聞かれることもあるけれど。それは「どうやって」ってことじゃない。おうちの方にも「具体的にどうすれば良いか教えて欲しい」と言われるけれど。目の前の人との対話の中にしか答えがないから、一般的な型みたいには言えない。

 そういうことをノウハウとして紡いだら良いのかな、っていつも思うけれど。結局そういうノウハウを上だけスッと掬っていくことに納得していない自分もいるから、形にはならない。

 大人も子どもももう少し余裕が必要。簡単に近道探して行くよりも、人生寄り道いっぱいして味わった方がずっと楽しいよ、って今年も言い続けるかな。

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