「なにをしましたか?」5分小説『ガラス細工のマーケット』
冬の日の小さなフリーマーケットで動物のガラス細工を見つけた。
午後の陽射しに当てられて、半透明のソーダ水のような影を落としている。
10センチくらいの小さなものなのだけれど、今にも動き出してどこかへ行ってしまいそうなくらいとても精巧に出来ていた。
その上値段も、その技巧に比べたら、とてつもなく安い。
私はくまのガラス細工を買い、店をあとにした。
それから私はたくさんのお店を見て回って、両手いっぱいの掘り出しものを手に入れた。
タペストリーや珊瑚色の石鹸。
中には何に使うのか分からない奇妙な形の鍵やら、薔薇の花の透明な立体パズルやらがある。
もう空はだいだい色に染まり、人もまばらになってきた。
そこでふと、さっきのガラス細工のお店を思い出す。
...あのお店...まだやってるかな...。
私はバックを探り、あのくまのガラス細工を取り出そうと...
あれ?見つからない...
どこかへ落としてしまったのだろうか...?
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364字
疲れた日に読みたくなるような7つの小説を詰め込みました。是非お楽しみください。
疲れた日に読みたくなる5分小説、揃えてますよ?