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『竹取物語』イントロ03(古典ノベライズ後編)

(昨日 ↓ からの続き)
https://note.com/namikitakaaki/n/n17b431bd7d1e


 そんなわたしの心中知らず、おばあちゃんは初対面でのリトルなわたしに向けていた新参女への敵意(参照 ↓ )https://note.com/namikitakaaki/n/ne29abd405d5a?magazine_key=mdc93b9a3b12a
 なんかおくびにも出さずに、わたしの度を越した成長を喜んでくれた。
 この人は、瞬間的な感情がダダ漏れしがちなだけで、悪い人ではなかったようだ。
 髪を結い、着物を準備し、成人の儀の準備をさも嬉しそうに浮かれてやってくれるおばあちゃんを見ていたら、わたしもなんだか嬉しくなった。
 まさか18歳の成人式を、異世界転生先でやるとは思わなかったけど。

 それ以降、箱入り娘として育てられたわたしは、家でずーっと保護されて、それは大切に育てられた。
 その間あまりにヒマだったから、カバンに入ってたファッション雑誌をお手本に、和鏡(わきょう)っていう平安時代の鏡に向かって、メイクの勉強をがっつりやった。
 その甲斐あって、自分でもうっとりするよなメイク・アップ! お化粧技術はレベル・アップ!
 透明感抜群のメイクは、暗い中でもまるで光っているかのように白く美しく映えたんだ。
 おじいちゃんはそんなわたしに、

「見れば嫌なことみんな忘れられる、まこと美しき顔じゃのぉ」

なんて頬を緩めっぱなしだったんだけど、その言葉は自分の連れ合いであるおばあちゃんに言ってもらわないとわたし困るの。
 だっておばあちゃん、いまデレデレと腑抜けた顔でわたしを見つめているおじいちゃんの肩越しの後ろから、闇を抱えた血走った両目でメッチャわたしのことニラんでっからさ。
 やっぱこの人、感情ダダ漏れタイプの女なんだわ。

(来週の木曜に続く)

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