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『伊勢物語』芥川01(古典ノベライズ後編)

(昨日 ↓ からの続き)

 屋外の雷は、ますますひどくなっていく。
 高速で走る車をスピンさせそうなほどの猛烈な力で地面を打ち付けてくる雷は、恥ずかしがりやのTや重量級のDがいる幽霊屋敷で夜を明かすことにしたMとPを小さく小さく縮こまらせた。
 このとき、雷の様子を見ようとMが屋敷の外へ行ったのが間違いだった。
 Mがいなくなった隙に、さきほどやっつけたはずのK大王が忽然と姿を現し、またしてもPをさらっていったのだ。

「助けて、マリ……Mっ!」

 Pは危うく正式名称でMに助けを求めようとしたが、それはいろいろまずいので、慌ててイニシャルトークに直して声を上げた。
 けれどもいまだ雷は止まず、小さくなって一定時間スピードの遅くなったMには、どうすることもできなかった。

(来週へ続く)

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