『宇治拾遺物語』絵仏師良秀01(ウソ前編)
いまから書くことは概ねウソなのだが――かつて仏師になるためには5つの職業をマスター必要があった。
なお、ドラクエの転職システムの話はしていない。
仏師というのは、彫刻家の中でも特に仏像を彫る専門職を指す。海外では紀元前からある伝統的な職業で、日本には仏教伝来とともに仏師という存在が伝わったと考えられている。
仏師は、仏を彫る。
もっとも夏目漱石がかの短編小説集『夢十夜』の第6夜にもあるように、木材を「彫る」というよりは木材から「掘る」感覚なのかもしれないが。
ところがだ。「魂入れ」の言葉もあるように、一部の昔の人たちは仏像を彫っただけでは不十分だと考えていたようなのだ。
ここに、先の5つの職業を経る必要が出てきた。
この5つの職を経た者だけが、正式な仏像を作れるのだ、と。
彫刻で仏像を作る仏師になるために必要な職業、それが……。
・絵仏師
・歌(うた)仏師
・舞(まい)仏師
・香(か)仏師
・弁(ベン)仏師
であった。
ちなみに弁仏師だけは「ベン」と音読みとなり、発音は「べんぶつし」となることが多い。他の四つの仏師の頭文字は、すべて訓読みだ。
それではここで、仏像を彫る仏師になるために必要な職業の詳細を順に追っていこう。
(明日へ続く)
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