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『宇治拾遺物語』絵仏師良秀01(ウソ後編)

(昨日から、ウソの続き)

 絵仏師は、まさしく「絵仏師良秀」にも出てくる、仏の絵を描いたり彩色したりする仕事である。
 歌(うた)仏師は読経の専門家で、とりわけ仏像開眼供養などの式典には欠かせなかった。これは鎌倉時代の琵琶法師につながっていく
 もちろん舞(まい)仏師も開眼供養式典では重要であり、こちらは平安末期の白拍子へと派生していく。
 香(か)仏師からは茶道や華道に並ぶ平安時代の香道が生まれ、弁(ベン)仏師は明治時代の活弁士や平安時代の萬歳(後の漫才)へとつながっていく。


 お気づきだろうか?
 上記それぞれの5仏師は、全て五感に関する職なのだ。
 人間は絵を見たり、歌ったり、あるいは体で舞を感じたり。香りに心を動かされれば、それを言語化する生き物だ。
 かつてはその人間の五感に訴えかける職業5つをマスターしたものに限って、やっと彫刻の勉強を始めることを許されて、修行の末に、仏師と名乗ることができたのだった。
 仏師自身が、彫り上げた木彫に魂を入れて、仏像はやっと完成となる。

 仏師が魂を入れるこの作業が、まさしく第六感ともいえる霊感に所属することは、確認するまでもないだろう。
 五感すべてを学んだもののみが、第六感に携わる魂を仏像に吹き込む境地へと達することができるのだ。


 なお以下は眉唾モノなのだが。
 令和時代に入って活躍しているVTuber(バーチャル・ユーチューバー)の『中の人』たち3000人を霊能者のところへ連れていき、彼らの前世を見たところ、半数を超える1700人程度の前世での職業が、現在で言う彫刻家たる仏師であった。
 とあるYouTuberの企画で、そういう調査があったのだという。
 むべなるかな。人間ではない人間の形をしたVTuberに、彼ら『中の人』たちは確かに魂を吹き込んでいる
 しかしながら「昔の世はそんなに仏師まみれだったの?」という疑問は当然鎌首を持ち上げるわけだ。
 断定的な判断は、別のYouTuberが次なる企画でやってくれることだろう。
 いち視聴者として、今後を待ちたい。

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