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対象者を見つける旅⑩〜宝箱に入れたい三日間〜

⑨の続きです。

親友のご両親との交流 そして別れ

娘の友人が突然「畑体験をしたい」ということを、
承諾してくれた、ご両親。
おばさん(母)はまだ、子供の頃から面識はあるが、おじさん(父)とは、はっきり言って喋ったことも無ければ面と向かったことも無い😅

親友(mm)から、「喜んでるよ〜」とは聞いていたが、実際会うと、本当にそんな感じでした。
オープンマインド?両手を広げて迎え入れてくれたような感覚でした。なんと、奇特な!

朝7時過ぎに畑仕事へ出て行きます。出る時に、目と鼻の先に住むmmの家に一報が来たら私も出る、という段取りです。
が、
夜が遅くて早起きできない上に、mm宅では非常にゆっくりとご飯を頂いてたので、家を出るのは大分遅くなりました。
それでも「ゆっくりおいで〜」と言ってくれたおばさん。とても安心できました。
本当はガッツリ畑仕事したかったけど、大したことできなかった。
一番の目的は、将来田舎に住んで、自分が食べる野菜を育てる夢があるので、畑仕事のキツさの現実を味わうことと、虫に散々出会って虫嫌いを克服する洗礼を浴びることでしたが…どっちも中途半端💧虫、全然おらんかった、普通に蟻だけ😅
その割に三人でわりと休憩して、特におばさんとよく話しました。
おじさんは無口なりに口を開いてくれたし、親切にいろいろ教えてくれて、それをmmに伝えると
「え゛ー、しゃべるんだー⁉」と、無口なお父さんが喋ることにかなり驚いていました。
逆に、mmが驚いてたことをおばさんに伝えると、
「私も驚いてるのよ、畑始めてから変わったのよ」と言っていました。
おじさんとおばさんの馴初めや、子育てのこと、仕事のこと、いろいろ聞いたり、聞かれたりで話しました。
終わってみれば、
ご両親との本来の目的は、畑ではなく
やはり、対話だったのかもしれません。

そして、私がいよいよ帰る前、
ご両親に一番伝えたかったことを伝える機会を持ちました。もちろんmm本人も、そこにいます。
本人の前で伝えたかったことです。
紙芝居をしました。
その前にこう伝えました。
「おじさんとおばさんに感謝の気持ちを込めて。畑もそうですが…mmさんをこの世に送り出してくれて、ありがとうございます。」
「そんな大げさな」ってみんな笑ってた。
「それと、いつもいろんなことがあると思いますが、しばし童心に帰ってもらって、和んでもらえたらな…と思います」

イベントの経験で覚えた、自分を信じる“間”を感じながら演じた。やっぱ、外より中は声が響いてやりやすいな…なんて冷静な自分もいた。
最後に差しかかった。
最後の台詞を読んで、残り3行のナレーションのところで、いきなり“泣き”が私の中に噴出した。
泣けて、読めなくなった。
でも終われない、あと3行読まなくては…幸い、顔は紙芝居で隠れている…
声を絞り出した。絞り出して絞り出して、そして
最後の一文字の「た」が、本当に出なかった。
でも、めちゃくちゃ絞り出した。
終わった瞬間、糸が切れた。紙芝居を倒し、
泣いてしまった。mmが、サッと来てくれた。
自分でも驚いた。何が起こったのか。
みんな、拍手をして絶賛してくれた。
ティッシュをもらった。
きっと、感謝の気持ちを出せたんだ、と思った。

もう、帰る時間。
半ば運命的に借りた二つ目の紙芝居は、読む時間は無かった。でも後でmmが、子供が帰って来たら自分も紙芝居を読む、と聞いて、この先何らかの影響を果たすかもしれないと感じた。いや何も影響無くても、借りたあのmmとの一場面があったことが、もう十分とも言えるだろう。

おばさんが「喉が疲れたでしょ」とジュースを持たせてくれた。
玄関まで手に持ったままだったティッシュを、
「すいません、捨ててもらっていいですか」と、おばさんに渡し、トイレを借りた。
「真珠の涙のティッシュ」と、トイレの外から聞こえた。

そして、mmの車で、名古屋駅まで送ってもらった。
「あの ひつまぶし、一番美味しい ひつまぶしかもしれないよね」なんて話をしながら…

身動きが取れなくなった名古屋駅前の交差点で、
「今降りなくちゃ」と、別れを味わう隙もなく、
急に別れはやって来た。
その車の前の横断歩道を渡りながら、
お互い、精一杯、手を振った。
その親友の姿を、私は忘れられない。

続く
親友の話は終わりですが、
旅はまだ続きます。

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