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ten56. Japan Tour 2024@GARRET udagawa 2024.03.04(Sun)

イントロに合わせ、青と白の照明が人々の目を刺す。
暗がりから鮮やかなタトゥーを身にまとったアーロン(Vo.)の姿が浮かび上がると、観客は今日一番の歓声をGARRETに響かせた。

一曲目は「Diazepam」。抑うつ効果であったり筋肉の緊張を和らげる、心の安定薬として知られる薬だが、今の観客にはただの興奮剤としか機能しない。さながら危険ドラッグと言っても過言ではない。

"I won’t stop until I’m bleeding"
から始まるは「Exit Bag」。今日俺は流血するまで止まらねえ。お前らも休むんじゃねえぞ!という彼らなりの宣戦布告と受け止めてよいだろう。

続いて爆発音かと聴き間違うような轟音からスタートするのは「Saiko」。冒頭の爆発音も相まって、暴動でも起きたのかと思うほど荒れたフロアがここで見事に完成した。久々にフロア内でもみくちゃにされ、とんでもないところに来てしまった…(笑顔)となったことを覚えている。

"ジャンプの準備できてるか!?"
とのアーロンの声かけから始まるは「Yenta」。「Intruder」を挟み、続く「Shitspitter」でも"足動かせよ!!Lose your mind!!"と声を張り上げ、暴徒化した観客を、"Drown slow"しないように先導してくれた。

"ten56.です。パリから来ました"
"楽しんでるか?"
アーロンの発する一言一言で、汗と興奮が入り混じったフロアに、おおーーー!!!という大歓声があがる。
本日はツアー最終日。これまで福岡、大阪、名古屋と、どれだけten56.が各会場を盛り上げてきたか、SNSで逐一チェックして期待度MAXな観客たち。彼らのライブに熱が入らないわけがない。

そんな我々の期待と興奮に応えてくれるように、初っ端から頭を全力で振れる「Choky」を披露してくれる。ルカ(Gt.)も想像以上にえげつない低音コーラスで応戦し、アーロンのボーカルも相まって、まるで声量の暴力を受けているかのようだ。

そんな暴力から解放されたと思えば、「Sick Dog」では楽器隊が縦横無尽にステージを駆け回り、観客とグータッチしたりと交流を図ってくれる。先ほどまでの声の暴力はどこへ?そこには異国のファンと積極的に触れ合ってくれる、優しいタトゥーゴリゴリのお兄さんたちしかいない。

ここまで計八曲を終え、アーロンがマイクを握りなおす。
"日本。こんなに大勢の人が来てくれて、沢山の人の前でステージに立っているのが本当に最高だよ"
それはこちらの台詞でもある。本当に日本に来てくれて、日本各地様々な場所でライブをしてくれてありがとうと言いたい。

”次は最近出したばかりの新曲。Good Morning”
あちこちから歓声が上がる。日本ツアーのこのタイミングでリリース&MV公開がされたGood Morning。それをこの場で生で聴けるというのだ。なんという贅沢を我々にさせてくれるのか。

続く「Traumadoll」はアーロンの気合の入った咆哮から幕が開ける。続けざまに放り込まれる「RLS」では、照明が全面ピンクに変化しアーロンや観客の顔を怪しげに照らす。さながらMVの世界に我々が入り込んだかのようだ。

「Ender」ではアーロンの放つ"全員座れ!"の合図を皮切りに一気に視界が開け、カウントダウンで更にGARRETを人工地震が襲う。その盛り上がりに触発されたニコラス(Ba.)とルカが暴れ回りステージ上で衝突し、ごめんごめんとニコニコ笑いあっている姿に癒される。

イントロがかかった瞬間に来た!!!!と歓声があがるのは「Boy」。
"みんな動けよ!?"とのアーロンからの命令に、人がパンパンに詰め込まれたフロアで、観客は各々足の踏み場を見つけて地団駄を踏み踊りまくる。
"東京ありがとう!!"と曲を締め、会場を再び歓声の渦へと巻き込んだ。

ライブもいよいよ終盤に差し掛かる。
"これが俺たちの初めての日本でのライブなわけだけど…" アーロンが語る。
"本当に来てくれてありがとう"
"でも、頼むからもう一曲とか言わないでね。俺たちもう曲ないから"
お茶目な発言に笑いを起こしつつも、すぐさま猛獣のような目つきに切り替わり、ラストの一曲「Kimo」のイントロが鳴り響く。

曲の中盤ではアーロンがフロアにダイブしたり、フロアからダイバーが発生したりなど頭上が大混雑。ファンの上を転がり歓喜の絶叫が鳴り響く中、アーロンも負けじと最後の雄叫びをフロアに轟かせ、"ありがとう日本!!"と再度ファンへ感謝の思いと、メンバー全員がファンにハイタッチを届け、ステージを後にした。

ten56.の名前の由来となっている、自害や酔っ払いの歩行者を表すアメリカのポリスコード「10-56」。ここにぜひ、日本語の「コロしてやる」という意味も含めてもらいたい。そのくらい、彼ら全員のステージ上での凶悪さと熱量は凄まじかった。
次の来日では、更にハコのサイズも大きくなっているだろう。そして当然、ソールドアウトは必至に違いない。

<セットリスト>
1. Diazepam
2. Exit Bag
3. Saiko
4. Yenta
5. Intruder
6. Shitspitter
7. Choky
8. Sick Dog
9. Good Morning
10. Traumadoll
11. RLS
12. Ender
13. Boy
14. Kimo

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