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アイリフドーパ CROSSTREAM@YOKOHAMA BuzzFront 2023.11.11(Sat)


私たち観客と真に向きあってくれるバンド。トリに選ばれるにふさわしいバンド。それがアイリフドーパだった。

20:45をまわった頃、フロアから視線を感じて顔を上げる。そこにはアイリフドーパのアイガーゴイル(Vo.)の顔を大きくプリントしたTシャツを着た観客がずらっと並び、彼らのお目当てのバンドを今か今かと待ちわびていた。

ふっとフロアの照明が落ち、ステージが青一色に染まる。SEと共に本日のイベントを締めくくるバンド、アイリフドーパが登場した。

アイガーゴイルが大きく雄叫びを上げると、一曲目の「My Goblin」が始まり、それまで裸繪札、目やに!が作り上げたクラブの空気を一気に掌握して彼らのものにスイッチした。

"これがやりたかったんだろ!?" というアイガーゴイルの呼びかけからフロアに大きなサークルピットが発生し、二曲目の「Machu Picchu」が観客のシンガロングと共に鳴り響く。個人的にこの日は昼にMachu Picchuという名前のレストランで食事をしたため、ライヴでもこの曲を演ってくれてテンションが上がった。

急ですんませんがペルー行ってきました。
最高に美味しい。1人で食べるには多い。

"どうも、違法アップロードの前科があります。あと、不法入国も"

「Machu Picchu」のラストパート直前でMCを挟み、観客の笑いを誘う。ちなみにこのネタは、この日トップバッターであったSPARK!!SOUND!!SHOW!!が "この後出てくるバンド、全員前科持ちなんで。アイリフドーパは違法アップロードで捕まってます" とMCで語ったことに依るものだ。

MCを挟んだことにより観客の体力は回復し、"横浜のサークルピットは東京より速いんだろ!?" というアイガーゴイルの問いかけに応じるかのように、「Machu Picchu」のラストに今日イチの風速を叩き出した。

続く「Edo Word」では序盤はコミカルな曲展開に観客は横ノリで応じ、中盤~終盤にかけてヘビーな色が強くなるにつれて、徐々にフロアから頭を振る観客が増える。腰から上半身を折りたたむように深く頭を振り、観客は皆曲の世界に身を投じていた。

「Sparkling Pussy」「JELLY BEANS」も決して観客もアイリフドーパ自身も体を休めることはしない。「Edo Word」でもそうだったが、こんなに深く、重いヘドバンをする観客がいる(しかも一部ではなく、皆が)ライヴを見るのは久々であり、またそれに負けないほどバンドメンバー、アイガーゴイル自身も頭を振ることに非常に感銘を受けた。あまりにも深いヘドバンを皆がするものだから、ステージがとても見やすかったことを覚えている。

言葉通りフロアの熱気も最高潮に達した時、右手の親指を立て、わかってるよな?といった表情を見せて曲が始まった。ラストの「My right hand thumb is a Kraken」だ。この日はSPARK!!SOUND!!SHOW!!から目やに!まで、すべてのバンドでボーカルがフロアに向かってダイブをしたため、"次は俺の番だ!!" とアイガーゴイルが叫び、フロアに飛び込んで観客と触れ合い皆が笑顔になる空間を作り上げた。

その後アンコールで戻ってきた彼らは、
"今日サポートドラムって言ったやろ、サポートにアンコールやらすんか!?"
"(サポートの山﨑浩二朗に向かって)すみません!もう一曲だけお願いします!!"
とフロアに一笑いを起こしつつ、今日のライヴへの思いも綴った。

"前の2バンドが四つ打ちで、凄くクラブみたいな雰囲気になってて、僕らどちらかというとノリをぶった切るバンドなんで…でも温かく迎え入れてもらえて嬉しいです。ありがとう!!"

アンコールとして演奏した「Mashed Potatoes」でもしっかりとノリをぶった切り、この日のフィナーレを飾った。

密かにずっと気になっていたアイリフドーパ。絶対に世界に羽ばたくべきだと思っているアイリフドーパ。彼らをこのタイミングでライヴハウスで見ることができたのは本当に幸運だった。
彼らのライヴを生で見て思ったことは、観客への向き合い方が「本気」であることだ。
もちろん、ステージに立つと自分の世界に入り込むアーティストも、表現者として素晴らしいと思う。しかしアイリフドーパは、アイガーゴイルは、文字通り観客をライヴ中ずっと見ていた。観客を躍らせ、自分も踊り、決して観客を蔑ろにすることがなく、持ち時間のすべてを音楽を観客に届けることに使っていた。その点に非常に感動した。根強いファンがいる理由も、これは推すしかないでしょ!!と皆が感じる理由も大いに分かる。
観客にかんしても、バンドにかんしても、気づきの多いライヴになった。

<セットリスト>
1. My Goblin
2. Machu Picchu
3. Edo Word
4. Sparkling Pussy
5. JELLY BEANS
6. My right hand thumb is a Kraken
En. Mashed Potatoes

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