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【2023年度】サマースクールDay3の様子をお届けします|北欧デンマーク流の探究学習を学び・実践する「なめりかわ未来学校(サマースクール)」

対話×体験で探究力を育むデンマーク流の学習を、異年齢で実践するサマースクール「なめりかわ未来学校」。
2023年8月25日~28日の4日間に渡って富山県滑川市で行われたサマースクールのプログラムの様子を全7回に渡ってお届けします。
今回は、サマースクールDay3の様子をお伝えします。

<公開中の記事>
【1】共同記者会見の様子
【2】オリエンテーションの様子
【3】サマースクールDay1の様子(前半)
【4】サマースクールDay1の様子(後半)
【5】サマースクールDay2の様子
【6】サマースクールDay3の様子
【7】サマースクールDay4の様子


なめりかわ未来学校Day3

Day3は、8月27日(月)の午後に中滑川複合施設メリカ1階フリースペースに集合しました。

この日のテーマは、“あなたのワクワクするなめりかわの未来を考えてみよう!” 。前日に滑川市内を巡ってそこに住む人々との触れ合いを通して感じたことを元に、「わたしのこころざし」を「わたしたちのこころざし」として考えを広げるグループワークを行います。

中滑川複合施設メリカ

ビジュアル言語・グループワークの練習

まず、今日の流れの説明やチェックインの後に、アイスブレイクとして「ビジュアル言語」で絵を描く練習をしました。

ビジュアル言語とは、文字情報と図やイラストなどのグラフィック情報を組み合わせて思考や情報を伝達するもののことです。

同じ言葉でも人によってイメージするものが違います。「なめりかわ未来学校」のように異年齢、異なる背景を持つ人との対話・協働を行う際に、頭の中にあるイメージをビジュアルで伝え合うことで、お互いのアイディアをより理解し、活かすことができます。

また、議論やプレゼンテーションの内容を絵で可視化する際に役立ちます。「なめりかわ未来学校」では、この後のプログラムでグループごとに4コマ漫画を作るのですが、その考え方の元になります。

子どもたちは、株式会社レアの大本さんのレクチャーで、「りんご」や人の顔、「アイコン」などを描きました。

レアの大本さんが描いたビジュアル言語の見本

次に、グループで話し合う前に、「違いを活かすための3ステップ」を学びます。

<違いを活かすための3ステップ>

  1. 受け入れる(相手の言ったことをジャッジせずにまずは受け入れる)

  2. いいところを探して重ねる

  3. 提案する

この3ステップを頭で理解するだけでなく、身体で表現し、体感するワークを全員で体験しました。

また、「違いを活かし合うスイッチ」として、アイディアを伝え合う時に発すると考えが深められる言葉を学びました。この「スイッチ」には「違いを活かすための3ステップ」が含まれています。

<違いを活かし合うスイッチ>

違いを活かし合うスイッチ

参加者は、子どもと大人で混ざって3人組になり、「違いを活かし合うスイッチ」を練習しました。一人が「〜しよう!」と提案をするところから始まり、アイディアをどんどん発展させていきます。

自分の頭になかったアイディアを否定せず、まずは受け入れ、重ねて、さらに提案することで、予想もしなかったアイディアに辿り着くことを、短い時間の中でも体験できました。

休憩時間(おやつタイム)

さて、ここで休憩時間(おやつタイム)です。この日のおやつは、かき氷とたい焼きのどちらかを選べます。

好きな味のかき氷を選ぶ子どもたち(ブルーハワイが人気でした)
小麦・卵・乳不使用の玄米粉たい焼き(玄米粉おれんじぼーる「だいだい」で購入)

この時、会場を訪れたのは、滑川市の水野市長です。

前日に市役所を訪問してジャンボリーミッキーを踊った「チームモンキー」のしゅんくんは、準備してきたお礼の手紙を水野市長に手渡しました。

手紙には、ジャンボリーミッキーを踊る自分とカズーを吹くメンバー、それをカメラで撮影する水野市長の様子を描いたイラストに「水野市長様へ ありがとう。しゅんより」と添えてありました。

水野市長は描かれたイラストやメッセージを眺めて、しゅんくんにお礼を伝えました。

手紙をもらって嬉しそうな水野市長(左)と上田教育長(中央)、しゅんくん

チームで「こころざし」を考えるワーク

ここからは、いよいよ「わたしたちのこころざし」としてチームで考えるワークを行います。

先ほど実施した、ビジュアル言語・グループワークの練習の成果が試されます!

ワークの説明の様子(まだ食べている子も)

「わたしたちのこころざし」を考えるには、10年後の滑川市を思い描く際に、主語を「わたし」から「わたしたち」にします。

「2033年、わたしたちは滑川を(  )なまちにしたいです。そのために、(場所)で、(誰の)ために、(何)をしたいです」という文章に当てはめて考えます。

  • WHY:こころざし

  • WHEN:2033年

  • WHAT:何を

  • WHERE:選ぶ

  • HOW:どのように

ここで、株式会社レアが作成した4コマ漫画を見せてくれました。

このように、自分たちの思い描く未来の滑川市の姿を、絵と文字の「起承転結」で表す4コマ漫画のプロトタイプ(試作品)を作ります。プロトタイプの制作は、頭の中のイメージを紙に表すことでチームのメンバーに自分の想いを伝え、互いに共感するために重要な工程です。

そして方向性が固まったら、4コマ漫画のタイトル(表紙)をつけ、ストーリーを追加したものを作成します。レア作の完成版は、こちらです。

⓪タイトル(表紙)


付箋で未来の滑川市の姿を書き出すワーク

レア作の4コマ漫画を見てイメージをつかんだ子どもたちは、チームごとに未来の滑川市について考えました。

まず、付箋でそれぞれの想いを書き出し、グループ分けしながらまとめていきます。

高校生や大学生が中心となってワークを進める

このとき、大学院生に「みんなの意見をまとめる時に工夫していること」を聞いてみました。すると、「小中学生がせっかく意見を言ってくれたことを否定しないようにしています。みんなの意見を取り入れ、納得できるものにするように心がけています」と話してくれました。

文章にまとめる「チームからす」のメンバー

その後、起承転結の4枚(とタイトル)に分けて絵を描いていきます。

一人一枚ずつ絵を担当

さらに、そこにラップのように「8カウントの言葉」を乗せるのがポイントです。「チームにぎわい」のメンバーは、「会いにきたよホタルイカ、乗ってみたよ未来バス、実はいいじゃん滑川」と綴っていました。

8カウントの言葉で綴る「チームにぎわい」のメンバー

「わたしたちのこころざし」の発表

グループでこころざしをまとめた後は、それぞれ次のように発表しました。

1.チームモンキー
環境と人の心がキレイなまち

  • ボランティアバンクみたいなものを設置する

  • 海岸でボランティア清掃をして取り組んでくれた人にプレゼント

  • そのためにポスターを使って滑川市のいいところをアピールして若者に来てもらう

  • 子どもたちに海が綺麗なことを宣伝

2.チームマンゴー
人がにぎわう滑川

  • たくさんの人が集まるまちにしたい

3.チームにぎわい
 子どもが多いまち

  • 滑川市内で滑川にちょっと興味を持っている人に未来学校で体験したようなバスツアーをしたい

4.チームからす
何でもチャレンジできるまち

  • 滑川市に意見が言えるポストを設置したい

  • 学校や市役所など様々な場所で滑川市民全体の活気のために、子ども・市民・観光客の誰でも投書できるもの

発表する「チームにぎわい」のメンバー
発表後にはみんなから拍手が贈られました

さて、この日に作った4コマ漫画は、プロトタイプです。最終日の明日はそのブラッシュアップ版を作ります。
(ブラッシュアップ版はこの時点での完成形となりますが、それも今後それぞれの人生を歩む上でのプロトタイプであると言えます。)

実はこの日、国立研究開発法人産業技術総合研究所(通称:産総研)イノベーション人材部 デザインスクール事務局 審議役の大場光太郎さんが茨城県から訪れていました。

大場さんは、「私たち大人の研究者は、“できるかどうか” を考えます。それが、みなさんは “できるかできないか” は置いておいて、“こうなればいい” と思うことを素直に書いているのが、とてもいいと思いました」と感想を伝えました。

感想を伝える産総研の大場さん

チェックアウト(参加者の感想)

最後に、一人一言ずつ、感想・「今日いいと思ったこと」を話しました。

<今日いいと思ったこと>

  • みんなで一緒に活動したこと

  • アイデアとして形にできたこと

  • 得意なところを担当してみんなで作ったこと

  • 絵の描き方を習ったこと

  • それぞれのこころざしをすごく感じたこと

  • セリフを決める中で紙芝居から劇団みたいな方向性になって面白かった

  • みんなでこころざしを共有して楽しかった

  • チームワークがよく、話がスムーズに進んでいった

  • イラストが下手でもみんなポジティブに盛り上げてくれた

  • それぞれの強みを互いに認識して素晴らしい作品を作っていたこと

  • 滑川で嫌なことも前向きに作っていたこと

  • 休憩中にかき氷やたい焼きを食べ、に乗ったこと

  • それぞれが担うべき役割をしながらアイデアを重ね合わせていること

  • チームのみんなが自分の志だけでなく、他の人の志について考えて意見を出したこと

  • 10年後、滑川がどうありたいかを考えて積極的に話す姿

  • みんなが日に日に仲良くなっていること

  • チームで意見を出し合って考え、4コマを作っていくこと

  • 互いのこころざしを大切にしながら考えるチームの力

  • みんなの笑顔が素敵、しゅんくんから絵をもらったこと(水野市長)

一人一言ずつ感想を述べてチェックアウト(後ろで見守るのは大門県議や水野市長)

終了後、今日の様子を見た大人の方々にも感想を聞きました。

株式会社レア 外川さん:自分たちの夢ややりたいことを口にすること、それが滑川市をつくっている大人に届くことが大切。自分の意見が町に反映され、町を変えるきっかけになると気付けば参画意識が育つ。自分ごとになる。

株式会社レア 坂本さん:この体験は、子どもたちの心に何らかの形で残るもの。小学生が大学生と物怖じせずに話したり、意見を出し合ったりする経験が大切。日を重ねるほどに、段々、声も大きくなってきている。

余談(オフショット紹介)

「チームマンゴー」のはやとくんは、カメラに興味津々。休憩時間に私のカメラを借りていき、いろんな人を撮影して回っていました。

ご案内

次回の記事では、なめりかわ未来学校Day4(最終日)の様子をお伝えします。

・サマースクールDay4(最終日)の様子をお届けします|北欧デンマーク流の探究学習を学び・実践する「なめりかわ未来学校(サマースクール)」

Day4は、いよいよこれまでやってきたことの集大成。グループそれぞれが発表します。次回もお楽しみに!

<公開中の記事>
【1】共同記者会見の様子
【2】オリエンテーションの様子
【3】サマースクールDay1の様子(前半)
【4】サマースクールDay1の様子(後半)
【5】サマースクールDay2の様子
【6】サマースクールDay3の様子
【7】サマースクールDay4の様子

テキスト・写真:なめりかわ未来学校協議会/
        株式会社プロジェクトデザイン 古野知晴


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