見出し画像

【エッセイ78】音に敏感な私は、声で記憶する

私はどうやら耳が良いらしい。
耳が良いというと、多言語を自由に操る人とか、音楽の才能が抜きんでている人を思い浮かべるかもしれないが、私のはそんな凄いものではない。

テレビを見ていて、「あぁこの声は、あのバラエティー番組のナレーターの人と同じだ」とか、「あの声優さんはタ行に特徴があるな」とか、心の中で思ったり、誰かが隣にいれば、それを実際に口に出したりするだけだ。

特にこの能力で得をしたことはない、と思う。
せいぜい自分の中で「この声は誰々だ!」と心の中で叫び、後で調べて「やっぱりそうだったぜ」と悦に入るぐらいのことだ。

たまには家族に自慢したりもする。ほら!って。
別に私が功績を残したわけでもないのだけれど。
この能力、何に活かせばいいの?

思えば子どもの頃から、人の声を覚えることは得意だった。
クラスメートの声は全員把握していたし、振り返らなくても誰が教室の後ろで話しているか分かっていた。みんなそうだと思っていた。
でもどうやらそうではなかったらしい。

今も人の声を覚えることは得意だ。
顔を覚えることは苦手だけれど。毎日会う人でもない限り、顔と名前を一致させるのは結構大変だ。

余談だが、スポーツの選手名鑑とか顔と名前を一緒に静止画で見せられると、簡単に覚えられる。名前はイメージで覚えるので、思い出すときには漢字をまず想像して、それを頭の中で読むということをしている。

これはもしかして右脳を使っているのかしら。左利きだから?もしかしたらそうかもしれない。

昔から音には敏感で、あまり大きい音は好きではなかった。
けれど、ここ数年でそれが顕著になってきた気がする。

転職して、図書館勤務になったからだろうか。
静かなところで作業するのが当たり前になり、そしてそれがとても快適だった。
もしかして子どもの頃から図書館が好きだったのも、静かであることが一因かもしれない。

最近は本当に食器のガチャガチャいう音すら、しんどくなったりする。
自分が出す音ならまだしも(乗り物酔いしやすい人が、自分が運転していたら酔いにくいというのと同じような感じ)、家族がお皿を洗ってくれているときに出る音がしんどいときは困る。
洗ってくれているのに、文句を言うわけにもいかぬし(じゃあ自分で洗えよ)。

テレビのバラエティー番組のにぎやかな声もしんどくなる日もある。
聴覚過敏なのかなぁ、と思ったりしているが、定かではない。

そしてこれが耳が良いと言えるのかは、かなり怪しいが。

近くでなされる会話は、ほぼ確実に耳に入ってくるので、仕事では察しが良い人みたいになっているが、通勤時とか本を読みたいのに、話し声がすると内容が頭に入ってきてしまうため、読めない!となる。あ、そこ盗み聞きとか言わない!
便利なんだか、不便なんだか。

ちなみに音楽的な面では全く使えない。
音の高低とか音階が瞬時に分かるというわけではないのだ。当たり前だけど。
そういうのは逆にとっても苦手。全然分からない。

テレビ見てて、「あ、誰々の声だ」って分かっても、自分が一人で満足するだけで、特に得るものはありません。
好きな声優さんの声だったりしたら、気づけて嬉しかったりするけどね。

この能力の使い道をどなたかお教え頂きたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?