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ガリバー"法螺吹き"男爵の冒険

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毎日更新中の創作SF小説を一部加筆修正し、「まとめ読み版」としました。ご覧ください。
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2021年3月の記事一覧

ガリバー "法螺吹き" 男爵のスケッチ帳よりⅢ

ガリバー "法螺吹き" 男爵のスケッチ帳よりⅢ



"イヅナ"

細長い身体に3対の脚を持った、「中型」に分類されるデク。樹に巻きついたり、枝の間に潜って、滑るように素早く移動することができる。

頭部が上下に開いて人が乗り込めるようになっており、4〜5人まで搭乗可能。2列構成になっており、前列に操縦席と助手席、後列が客席という配置になっている。

胴体内部には空間がある。このデクは内部空間に貨物を搭載し、長距離を運搬する為に運用されることが多

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ガリバー・ロッド男爵のスケッチ帳よりⅡ

ガリバー・ロッド男爵のスケッチ帳よりⅡ



"シバテン"

四本の触腕を持つ、小型のデク。蛸や烏賊のようにしなやかに四肢をうねらせ、木にするすると登ったり、樹々の間を身軽に跳び移ることができる。反面、地上では素早く歩く、走るといったことを不得手としている。

触腕は物を掴むだけではなく、触れているものに微小な根を這わせ、樹々や他のデクから水分や養分を吸収することかできる。

口のように見える部分は操縦席になっており、上下に開いて人が乗り

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ガリバー・ロッド男爵のスケッチ帳より

ガリバー・ロッド男爵のスケッチ帳より

「わたくしはエウロペ神聖帝国から遥か南の海に横たわる暴風域"嵐の帯"を迂回し、安全な南下航路を探すための調査艦隊に加わっておりました」

「しかし"嵐の帯"からは逃れられずに艦は沈没し、わたくしは波に飲まれた末に、未知の世界に流れ着いたのでありました」

「海のように果てなく広がる森、そして手足を持ち歩き回る樹々と、それを操る人びと…」

「わたくしはかの不思議な樹の怪物"デク"に興味を持ち、観察

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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険 第一部 巨木の森

ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険 第一部 巨木の森

これは、毎日少しずつ公開している『ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険』の総集編(一部加筆修正あり)です。

ーーエウロペ神聖帝国、海軍査問会議次席書記、アイザック・ムーア記。

海軍南方艦隊所属、ガリバー・ロッド男爵の証言より。

「わたくしは南方艦隊6番艦、"白星号"に下士官として乗船し、南東諸島の探検任務に就きました。出航後2か月程で激しい雷雨と強風に遭い、やがて高波に呑まれて白星号は沈没した

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