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【読書メモ】幸せとお金の経済学

デジタル積読していたのをふと思い出して読んでみました。

要は、「地位財」を追い求めていてもキリがないから幸せを追求するなら「非地位財」に価値を置きましょう、というお話。問題提起はされるものの、いわば人間の本能と戦えという話なんだけど、そのための戦術アドバイスが書かれているわけではないので、「で、どないせえっちゅうねん」となるかもしれません。

1.非地位財とは

休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境などは地位財に替え難いものだと深く理解する必要があります。
繰り返しますが、非地位財に対してお金を配分していくこと。そのことが不毛な競争的消費に巻き込まされないことにつながり、結果的に資産形成への確かなステップとなるのではないでしょうか。

他人との比較優位によって価値を生む「地位財」を求めるのは人間の本能だけど、みんながそれで幸せになることはできない。だから競争から下りましょう、という見方によっては諦めの提案。

2.比較・競争は人間の本能

絶対的な所得が一定の値を超えると、全員の所得が同じ割合で増えても、幸福度はほとんど変化しなくなる
非地位財の消費が重視されている社会のほうが、主観的な満足度は高いことがわかっています

よく聞くけど、やっぱりそうなんですね…なのに私たちが所得を追い求めるのはなぜか…

行動経済学の重要な理論である「損失回避の法則」によると、何かを失う苦痛は、同じものを手に入れる喜びより大きいとされています。つまり所得格差が広がれば、低所得層の苦痛の方が高所得層の喜びより大きいのです。

苦痛を回避するために競争の世界に飛び込み疲弊していく、と…

しかも目に見える消費と収入にも強い結びつきがあるので、目に見える消費というのはあらかた効果的な能力の指標になります。他の人に比べて高い能力があると見られれば、それだけ高い能力の証となる消費が増えるのです。

消費も競争です。ひたすらに比較優位を求めるのが人間の本能なり。

3.教育という投資

筆者は教育費も地位財と位置付けます。高収入を得られる職業に就かせるために、「よりよい教育」を子どもに与えたい。となると教育投資の優先順位を上げなければならない。そんな親たちが増えれば増えるほど、教育格差が広がっていく…

筆者は累進消費税など、増税をすることで教育や社会的なインフラを整えることを提案しています。増税をすれば個人の消費機会も減り、社会が豊かになりつつ競争熱の高まりを抑えられる…?

4.結婚はどちら?

「配偶者の他人への自慢」「家庭を持っているという社会的ステータス」という意味では地位財、「配偶者や家族への愛、絆」という意味では非地位財といえる

そうです。な、なるほど… そして愛情表現にも競争の論理が…

「豊かでない国では、夫の妻への愛情表現は1輪のバラですが、豊かな国ではバラの花束が必要です」

TO DO
①競争に終わりはない、比べても仕方ないという意識を少しでももつ
②非地位財への投資こそが幸せのカギだと胸に刻む
③日々の支出を「地位財/非地位財」の観点で仕分けしてみる

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