naka satoshi/仲 悟志

劇団血パンダ団長。白玉古本店店主。演劇の発生する瞬間を地味に模索中。演劇を見たのか実際…

naka satoshi/仲 悟志

劇団血パンダ団長。白玉古本店店主。演劇の発生する瞬間を地味に模索中。演劇を見たのか実際の自分の経験か、夢でも見たのか。そんな風に記憶に入り込む演劇を作っています。 https://blood-panda.net/

マガジン

  • 氷見の奇祭ブリスマスについて

    昭和40年代に廃れ、急速に忘れられた富山県氷見市の奇祭、ブリスマスについて、氷見市出身の歴史研究家、小説家の野坂利雄先生の草稿やメモを参照しつつ、調査を行う、フェイクドキュメンタリープロジェクト。

  • 怪談

    週に一本怪談をアップする試み

  • 血パンダはどうやって演劇を作っているか

    文化庁の文化芸術活動の継続支援事業をきっかけに、文化芸術活動の継続ってなんだよとイラッとした頭を冷やすべく演劇について何か書こうと思ったものの、切り口どうすんだよとなったところ、友人から「ゼロからどういう流れで作ってるの?演劇って」というお題をいただいたので、血パンダの場合について書いていきます。

  • しあわせのかおり前口上

    血パンダ公演『しあわせのかおり』の前口上です。

  • 世界の秘密

    世界の秘密についてをまとめた掌編

最近の記事

是が非でも小便をひっかけたい

「小便をひっかけた先は自ずと心得ているものだ」と考えた時に、念頭には男性の立ち小便があったので、小便をひっかけた人間が男性に限定される表現になり、言い回しに汎用性がないことについて考えた。 田舎者なもので、ばぁちゃんの立ち小便には幾度も遭遇しているが、女性の場合は主に座り小便をするはずで、しかし、小便のいく先ぐらいはある程度把握しているのではないかと思うものの、ひっかけるとなると男性を思い浮かべたのだ。 誰が言っていたのか記憶が定かではないが、水洗式のトイレが普及したせいで

    • 富山県氷見市のバーで聞いた思わぬマティーニの薀蓄

      マティーニが氷見市内の各所で飲まれている理由が、実は日露戦争後に富山県氷見市の若者たちの間で飲まれていた、ウォッカやジンに似た酒にあるという薀蓄を聞いた。確かに、氷見に住んでいると、他所の土地よりはマティーニがあちらこちらで飲まれているとは思っていたけれど、缶入りカクテルの影響だろう程度にしか考えていなかったが、実は全く違っていたので、忘れないうちにメモ。 昨夜、氷見のバーで話していて、マティーニに付いているオリーブが、まだ奇跡的に残っている稲積オリーブだとマスターが教えて

      • 『辞書に立項されている、どうしようもなくごちゃごちゃしていて、どうにもならないうえに、とてもうるさい音を出すだけのものを表す全ての語彙についてのまとめ』作、演出の前口上

        上演前に前説もなにもしない劇団なので、スタッフ、キャストの名前や今後の予定を書いた紙に、作演出の前口上を付けている。 明日からの公演の前口上を、先にここに出しておくという、新たな試み。演劇を見ない皆さんもどうぞ。 前口上消息の知れない友人について考えることがあります。 彼女はおそらくもうこの世には居ないのだろうと、なぜなら最後のやりとりは彼女がガン治療で入院している最中のスマートフォンでのチャットだからです。 荷物は病院でも受け取ってくれると聞いて、岩波文庫の『オー・ヘンリ

        • もうすぐ公演なのだけれど、稽古で役者と共有したことを、改めて書き起こしてみる。セリフとか距離とか演技とか客について。

          劇場に客が居て、役者が客にセリフを聞かせると考えるのは、一旦脇に置いておく。 なぜなら「客」というのは、そもそも位置も確定していないし、本質的にはコントロール不可能な存在なので、それを想定して音を出すとなれば、当然力加減がおかしくなるからだ。 とりあえず最初は、登場人物として、どんな振る舞いをするのか。そこから導き出される発声、発話の音量はどの程度かを考えるところから始める。 日常の発話と同様、演劇セリフも思考の結果として「話す」ことが選択されたと考える。他にもあった様々な

        是が非でも小便をひっかけたい

        • 富山県氷見市のバーで聞いた思わぬマティーニの薀蓄

        • 『辞書に立項されている、どうしようもなくごちゃごちゃしていて、どうにもならないうえに、とてもうるさい音を出すだけのものを表す全ての語彙についてのまとめ』作、演出の前口上

        • もうすぐ公演なのだけれど、稽古で役者と共有したことを、改めて書き起こしてみる。セリフとか距離とか演技とか客について。

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        • 氷見の奇祭ブリスマスについて
          4本
        • 怪談
          4本
        • 血パンダはどうやって演劇を作っているか
          12本
        • しあわせのかおり前口上
          6本
        • 世界の秘密
          6本

        記事

          お客が見ている濃淡や目の行く場所の違いが久々に凄まじいので、さっさと戯曲を公開する。

          富山県と石川県で演劇活動をする女性俳優三人が、晩秋ぐらいから稽古する暇があるというので、思わず台本を書いてしまって、ユニットを結成して公演にごぎつけた。 Theater Signは、石川県で活動している 横川 正枝(劇団北陸新協/Masa&Kou)と、富山県の虹畑 テトテ(劇団ココロ跡)、長澤 泰子(劇団血パンダ)の三人に、私、仲悟志が台本を書くというユニットだ。 公演、『なんのきざしもない』は、石川県でずっと活発に活動している劇団アンゲルスの本拠地スタジオ犀(金沢市長土塀

          お客が見ている濃淡や目の行く場所の違いが久々に凄まじいので、さっさと戯曲を公開する。

          〈怪談〉裸足の人

          学生の頃なので、かなり昔のことになる。 友人の住んでいるアパートの建物がとても不思議な作りで、外観を見ると縦に割った二つの建物を連結した様になっている。当然、中もそんな感じで、連結部分が階段二段分ほど食い違っていて、本当にそのまま階段になっていた。天井もその様に折れている。 入口から入って左手になる方がなんとなく新しいので、本当に増築して連結したのか、それにしても、別棟というわけでもなく、縦に連結して高さが合っていないというのが、なんともいえない違和感だった。 おまけに、一番

          〈怪談〉裸足の人

          田舎で演劇をやっていると、演劇を見る事自体ままならないけれど、さて、なにをどう考えたものか。

          少し前に見かけた「演劇をやっている人すら演劇を見ない」というのをずっと考えている。 ただ、どんなもんだろう。演劇をやっているなら実は、本番を見るくらいなら他所の稽古の方が役に立つ気がする。ただ、稽古を見る機会なんて、そもそも無い。 だからこそ、なにかのワークショップにでも参加するか、外に出て学習でもしない限りは、劇団であれば必然的にタコツボ化していくだろう。地方でやっていれば余計にそうなる。他の劇団との交流以前に、公演を見たとして、向き合い方や見て取れるセオリーの存在について

          田舎で演劇をやっていると、演劇を見る事自体ままならないけれど、さて、なにをどう考えたものか。

          富山県界隈でローカル小劇場劇団を盛んにする。

          稽古場としてずっと維持管理している内川Studioを、より盛んに使っていこうというのを心に決めたのだけれども、そもそも劇団血パンダのお客をもっと増やすことを考えねばならない。 そんなわけで、内川Studioに演劇を見に来る人を増やすにはどうしたらいいのかを考えている。 とりあえず、血パンダのやり方を変える気はない。緻密な作品を上演をするだけだ。 毎度「わからない」から「号泣」まで反応のグラデーションを発生させているわけで、「短編小説の集中一気読み」と評する人も居る。こうしたお

          富山県界隈でローカル小劇場劇団を盛んにする。

          きざすもの きざさぬものと 思い乱れ 鈍色の雲 幾重にもなる

          きざすもの きざさぬものと 思い乱れ 鈍色の雲 幾重にもなる

          〈怪談〉むしろこっちの方が……。

          おばけだと自覚しながら目の当たりにしたという経験は無いけれど、後から考えると見ていたのかと思うことがある。 厄年の三年間、前厄、厄と2年連続で信号待ちをしていて追突されて、そんなこともあるかと思っていたら、後厄の年の初夏、夜中に黄色の点滅信号に入ったところで、赤色側から飛び出してきた車が、こちらの前をすり抜け切れずに接触するという、なんともいえない事故を起こしてしまった。 向こうは軽四でこちらは普通車。事故の瞬間は何が起こったのかびっくりはしたもの、こちらの車の前をすり抜け

          〈怪談〉むしろこっちの方が……。

          〈怪談〉忘れていた恐怖体験

          あるとき、友人Tの部屋で酒盛りをしながら、Tがバイト先のビデオレンタルショップから持ち帰ったビデオを見ていた。 持ち帰ったといってもこれは、返却されたビデオテープを巻き戻して、とりあえず最初の部分だけ再生してみる「検品作業」のためだ。時間外労働だが、無料でビデオを持って来られる、微妙な役得でもあった。 自身も映像作品を作っているTは、ジャンルを問わず、子供向けから成人向けまで、とにかく満遍なく要検品のビデオを持ち帰ってきて、とりあえず、ずっと何かしら見ていた。 酒盛りには

          〈怪談〉忘れていた恐怖体験

          〈怪談〉二上山の小さな喫茶店

          注意:この話をすると、なにを聞いているものか、結構な割合で「あの古民家でそんなことが?」という反応を返す迂闊な人間が居る。実在の場所を出しているのは、明確に違うらしいからなので、とにかくそこを間違えないでいただきたい。 平成になったばかりの頃だから、もう30年以上昔の話になる。 当時、バーガーショップでアルバイトをしていて、同じバイトの女の先輩に聞いた話しだ。 先輩は無口な方で、休憩時間にもどちらかといえば、話しをきいてもらってばかりいた。 そんな先輩がある日、「変な話とい

          〈怪談〉二上山の小さな喫茶店

          イメージの浸透

          noteから、『失われた富山県氷見市の奇祭「ブリスマス」』のエントリーが5回シェアされたと報告がきた。 どなたがどんなふうに扱ってくれているのか知らないが、ありがたい。これは、回数や規模の問題ではない。Googleが試運転しているAIも、試運転ながらよく働いてくれている。 架空の奇祭「ブリスマス」の侵蝕は、ゆっくり進んでいる。 「ごんこん祭り」「まるまげ祭り」が奇祭として検索されれば「ブリスマス」もくっついてくる段取りだ。 氷見に関する架空の事実を作り上げていくという意

          演劇の台本向けのネタ拾いをしている流れで、氷見で人口が増やせそうな起点を発見したけど、発見しただけで何かできるわけでもないので、書き留めておく。

          氷見の地域劇団のネタ拾いのために、氷見の人にインタビューをしている。お題は概ね「私と氷見・氷見で暮らしていてどうか」。 ほんのり面白い共通点が見て取れる気がするので、このインタビューはもっと大勢できちんとやったら良いと見ているのはさておき、聞きながら、今どうして人口が減少していくことになっているのか、流れが見えてきている気がするので、書き留めておく。 ついでに、血パンダの次回公演のために使おうと思って、小柴とパサージュ論の検討会をしていることも、いろいろ考えるための燃料になっ

          演劇の台本向けのネタ拾いをしている流れで、氷見で人口が増やせそうな起点を発見したけど、発見しただけで何かできるわけでもないので、書き留めておく。

          B級とも呼べない、氷見の家庭で普及している食べ物。

          という触れ込みで、ゆっくりと事実を作っていきたいと考えているうちに、しっかりと整っていくので、非常に罪深いものだと、ひしひしと感じる次第。 「ぶりぬぐい」 小麦粉などの薄い生地で、昨日の刺身に火を通してほぐしたものや、やよごし(刻んだ菜葉などの味噌炒め)を包んで酒のつまみにしたもの。薄い生地で、具をぬぐう様にして食べたことから、「ぬぐい」とよばれていた。 氷見市出身で歴史家の能坂利雄が、ロシア料理の「ブリヌイ」と関係があるのではないかという考察を、富山新聞に連載していたエ

          B級とも呼べない、氷見の家庭で普及している食べ物。

          映画を撮る気になった映画監督が居て、あれこれ話をしているうちに、映画を撮影する段取りが始まった。思いつきから衝動的にスタートしているので、そもそも予算というものがない。

          中学校が冬休みに入った瞬間に、一気に撮影する方向で、準備が進んでいる。監督のやる気がいい感じなので、あろうことか、いい大人が全員手弁当で集まりそうになっていたり、そもそも手弁当前提だったりするので、少し焦っている。 時間は簡単に経つし、とにかく撮影をすること以外には、なんの目処もないので、とりあえずシナリオ未満のものを世の中に放り出してから、何かを考えてみる、フルオープンな試み。 プロジェクトへの参加や、プロジェクトへの支援も、絶賛受け入れます。 冬の昼間ひとりの小僧がプロ

          映画を撮る気になった映画監督が居て、あれこれ話をしているうちに、映画を撮影する段取りが始まった。思いつきから衝動的にスタートしているので、そもそも予算というものがない。