第62話『弾丸が正しく心臓を貫く以前』

 運命を強固に決められてしまう以前、弾丸は花粉が飛ぶように飛ぶこともできました。
 その頃はまだ、撃ち抜くものと撃ち抜かれるものの関係もはっきりはしておらず、まだまだ互いの信念や誠実さが様々に作用していました。
 弾丸の軌道が全てを圧倒したとしても、それに服従することがなければ、当たるということはありません。
 神も悪魔も、最初は弾丸について全く注目していなかったこともありますが、弾丸が当たるか当たらないかは、全く縁や大義といったものの要素が大きかったことは確かです。

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