第63話『大親分の手並』

 ある時、盗賊の大親分が手下に裏切られていると気がつきました。
 自分に慢心があったとは思いませんでしたが、手下に裏切られることなど、実は初めてのことです。
 大親分は、盗賊を続けていくために何事も謙虚で慎重に、やり過ぎないことを心掛けいます。
 大親分は、ゆっくりと手下の様子を見ることにしました。
 手下は確かに大親分に取って代わろうとしていて、その分、自分の力量を過信している様子がありました。
 大親分はある時、大きな押し込み強盗の先をわざと諦めて見せ、皆にしばらく姿を消す様にと命じました。
 案の定、手下は大親分を裏切るために集めた仲間と、この強盗を実行しました。
 しかし、強盗があるという話しは、全て役人に筒抜けになっていました。
 大親分を裏切った一味は、捕手に囲まれ、進退窮まって捕縛され、全員処刑されてしまいました。
 大親分はこの混乱に乗じて盗みを実行し、姿を消してしまったそうです。

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