見出し画像

編集者が本でマーケティングされてしまった

皆さんは、自分の取り組むビジネスの商材を自分で買いたくなって、購買したことがあるだろうか?
もしくは同業他社の商材でも良い。自分がお客さんに売り込んでいるトークそのままの影響を受けて、何か行動変容したことがあるだろうか?
たとえば求人広告の営業をやっているとしたら、求人広告を見て転職に踏み切ったことがあるかとか、そういう話だ。

僕の仕事はブックマーケティングだ。出版によって企業のマーケティングを支援している。
で、冒頭の問いに戻る。
自分自身がブックマーケティングされた経験が、僕にはある。

靴にすべてを。

その一冊は、これだ。

『SHOE DOG(シュードッグ)』
https://www.amazon.co.jp/dp/4492046178/

ご存知NIKEの創業者である、フィル・ナイト氏の創業伝だ。
この本は抜群に良い。ビジネス自伝だけども小説顔負けにおもしろい。
NIKEの創業ストーリーが波乱万丈でワクワクするのはもちろん、著者の感情が驚くほど率直でみずみずしく綴られている。
こんなにぶっちゃけて書いていいのか心配になったくらいだ。
よく「一気読みした」なんて推薦コメントがあるけど、SHOE DOGに関してはガチで読むのをやめられず、夜中までかかって一気に読んだ。

造本も良い。「靴にすべてを。」だけにキャッチを絞り込んだ表紙はストイックでカッコよいし、紙選びも黒色が映える独特のマットな用紙でめちゃくちゃクールだ。さすがNIKEの本、と唸らされる。

この本は2017年の出版だけど、好きなビジネス書をいくつか挙げてと言われたら、いまだに絶対この一冊は入る。

ちなみに2023年に『Air』という映画があって、これもNIKEの一時代を切り取った映画だ。
SHOE DOGの映画化ではないけどノリは近いので、SHOE DOG狂としてはAirも興奮もののコンテンツだった。

スニーカーはNIKEしか買わなくなった

かくも愛してやまないSHOE DOG。
この本を読んで、僕に一つの変化が訪れた。

スニーカーをNIKEしか買わなくなったのだ。

スニーカー店に行ってNIKEがよく目につくようになった、というレベルでなく、スニーカーを買うときに必ずNIKEから選ぶようになった。
今見てみたら僕はスニーカーを7足持っていて、そのうちの6足がNIKEだった。一足だけどうしても気に入って買ったニューバランスがあるけど、いち消費者としてそれぐらいの浮気は許してほしい。

ちなみに部屋着のスウェットやジム用のスポーツウェアもNIKEだ。スポーティーな要素のあるアイテムはほとんどNIKEで揃えている。知り合いに「狂信者」と笑われるくらいだ。
正直、NIKEのスニーカーはあまり僕の足には合わない傾向があるんだけど、それはもはや我慢している。

本によってぶち込まれた強烈なブランド愛

なんでこれほどまでに極端な購買行動をとるようになったのか。
これはひとえに、SHOE DOGが素晴らしい本すぎて、読んだことによってNIKEというブランドに強烈なリスペクトが生じたからだ。
街で製品を見ても、親近感が最初から違う。本に載っていたストーリーや想いが背景にあってのアイテムだと思うと、それだけで輝きを増して見える。

本によるコンテンツマーケティングの力は、こんなにも強いのか。
その頃僕はすでにブックマーケティングの仕事をしていたけれど、SHOE DOGを読んで改めて出版のパワーを実感した。軽く人生が変わったと言っても大袈裟ではないと思う。
SHOE DOGみたいな圧倒的な体験を生む一冊を作るのが自分のミッションだと、そのとき強く感じた。
結局、出版社を辞めて独立してまでブックマーケティングのNo.1を追求しているけど、SHOE DOGによる衝撃がなかったら、いわゆる商業出版かWEB系の編集者に途中で転向したくなったかもしれない。それぐらいの原体験になった。

ちなみに、伊集院静さんの『琥珀の夢』という本もとても良い。

https://www.amazon.co.jp/dp/4087441210/

これはサントリーの創業者である鳥井信治郎さんを描いた小説だ。日経新聞に連載していたからそれで記憶に残っている人もいるかもしれない。
この本もすごくおもしろくて、僕は飲料についても選択肢があるときはなるべくサントリーの製品を買う。
飲み物はそのときの気分で他に選びたい味が出てくるのでサントリー一択とまではいかないが、サントリーについても僕は本でしっかりマーケティングされている。

原体験は最強のパワー

ブックマーケティングについて、僕にはこういう原体験がある。
だから本によるマーケティングがいかに強力な可能性を秘めているのか、自分の中で疑う余地はない。

出版不況なのに本なんか出して意味あるの?
時代はWEB広告なんじゃないの?

ブックマーケティングについてはそんな反論もあるし、別に一面として僕も否定はしない。
ただし、本のチカラについては僕の体験が根拠なんだからどんな説得でも覆りようがない。
もちろん、出版を提案する際に主観で押し切るような商談は全くしないけど、どんなに理屈よりも「ブックマーケティングには意味がある」という魂の確信が、本当は一番のアピールポイントだ。

仕事がら本当にたくさんの経営者を見るけれど、「自分自身が感じていた課題を解決するために起業した」「自分が本当に欲しいと思う商品を作った」といった、とことん経営者の自分起点なモチベーションから始まった企業は強いと感じる。
経営者自身がターゲットなのだから、細かい意思決定まですべてお客さんの感覚に重なり、かゆいところに手が届く。
何より経営者の芯が決してブレない。より良い商売をすることが、お金を稼ぐ以上に自分自身の人生をよくすることに直結するのだから、自然だろう。

逆に、自分の商材を愛していない、あるいは自分の所属する業界が嫌い、という経営者もたまにいる。
それでも業績は良いという会社もあるから難しいところだけど、ただ、そういう経営者は金銭的に儲かっていてもあまり楽しくなさそうに見えるのが正直な感想だ。
個人的には、自社の商材を愛している経営者と一緒に仕事をするのが楽しい。

僕ももちろん、出版不況の状況は冷静に見つめているしデータも集めている。
盲信的に「本は良い」という前提だけで進むのではなく、書籍という媒体の限界をある意味で冷ややかに見ながら会社の舵取りをしている面も当然ある。

ただ、「ブックマーケティングには意味がある。なぜなら自分自身が企業本に動かされたから」という信念はずっと変わらない。

なお、フォーウェイの公式サイトにあるコラムでもブックマーケティングの良さについては書いてある。
よければ読んでもらえると嬉しい。

https://forway.co.jp/post_column/bookmarketing/

まとめ

ブックマーケティングのポイントは引き合いの「強さ」だ。
本を読んだからと問い合わせてくる読者からの反響は、もう著者の商材を購入する前提であることが多い。

僕自身、本で動かされた経験があるからこそ、より良い体験を生む一冊に今後も取り組んでいきたい。

▼出版の相談はこちら▼
info@forway.co.jp

▼フォーウェイ公式▼
https://forway.co.jp/

▼パノラボ公式▼
https://forway.co.jp/panolabo/lp/

この記事が参加している募集