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ニッチなビジネスほどブックマーケティングに向いている理由

「自分みたいなニッチなビジネスで本を出して読んでくれる人いるの?」
というのは、著者や著者候補からよく質問される。

これに関しては、「だからこそ向いている」と断言できる。
今日はその理由について書いてみる。

実は「ベストセラー本みたいな企画」ほど効果が出ない

まず、取次の日販による2023年のビジネス書ベストセラーから、上位の銘柄を見てみよう。

『頭のいい人が話す前に考えていること』ダイヤモンド社
『人は話し方が9割』すばる舎
『とにかく仕組み化』ダイヤモンド社
『運動脳』サンマーク出版
『本当の自由を手に入れる お金の大学』朝日新聞出版

これらの企画には明確な共通点がある。

ビジネス書読者であれば誰でも買ってくれる可能性がある、という点だ。

基本的に、それなり以上の版元から出される本はすべてベストセラーを目指して作られている。
出版社というビジネス自体が「新製品を作って出しまくる」という変わったモデルになっていて、ほとんどの売れない本をハネた一発でカバーする構造になっているためだ。
したがってターゲットを広く取り、大ヒットを夢見て出版する。
逆に言うと「最低限の売れ行きは見込めるけど天井は低そうだよね」と最初から予想できるような企画にはGOが出ない。

しかし、ブックマーケティングにおいては、ベストセラーを表面的になぞったようなターゲットの広い企画で出版すると、経験上あまり効果は出ない。
その一番の理由として、やはりライバルになる商業出版の書籍は出版社としても、それなりの勝算があって出されているからだ。

SNSで数十万人のフォロワーを持つ著者である…
すでに新聞や雑誌の取材記事で大きな反響を呼んだ実績がある…
書籍のもとになるnoteがバズりまくった人気シリーズである…

こういった強みのある書籍と、それがない書籍が似たようなタイトルをつけて書店で並んでいたら、読者はどちらを買うのか、という話だ。
また、ベストセラー候補の書籍は著者の告知力やメディアアピール力がものすごく高く、出版社も大型の新聞広告などリスクマネーを投じて販促してくる。そうすると書店での展開も格段に良くなってくる。

つまりブックマーケティングでこうしたベストセラーと同じ土俵で闘おうとしても、相手が強すぎるのだ。結果、「なんか売れても良さそうな企画だけど結果は全然ダメだった本」になってしまう。

ニッチなジャンルほど勝ちやすい理由

一方で、僕が手がけてきたブックマーケティングで著者に大きなビジネスメリットがあった書籍は、たとえば下記のようなテーマだった。

・生命保険の販売代理店の経営論
・医師向けの不動産投資ノウハウ
・建設業の経営を改善する方法
・お金持ちのための相続対策
・断熱性の高い注文住宅を建てる理論
・地方都市の病院長の創業伝

僕の会社のサイトにはなるが、わかりやすい効果事例を記事にしているのでよければ下記も読んでみてほしい。

https://forway.co.jp/post_column/case-inaba-plan/

これらの書籍は、商業出版だと企画のGOがまず出ないだろう。
絞りこんだターゲット向けであることを明確に伝え、逆にいうと当てはまらない読者層を排除するような作りになっているからだ。

しかし、結果はすごかった。いずれも書籍経由で著者に1億円を超えるリターンがもたらされた。本としての売上も意外と普通によく、3万部以上売れた銘柄もある。

うまくいったのはなぜなのか。いくつか理由が考えられる。

①類書がない
広い層に向けたブックマーケティングが難しいことと表裏一体の話で、ニッチターゲットの企画には商業出版のライバルがいない。
業界の専門系版元から類書が出ている場合もあるが、そういう書籍は正直、書店で読者に強く訴えかけられる魅力を持っているとは言いがたいケースが多い。
ニッチジャンルはブルーオーシャンなので、勝ちやすいのだ。

②読者がいる
出版社ではよく「読者がいる・いない」という言い方がされる。ニッチ本はこの用語で言うと読者が「いない」。
ただ、それは厳密に言えば「たくさん本が売れるほどには読者がいない」という意味だ。著者のブックマーケティングとして考えると見方が違ってくる。
そもそもブックマーケティングに取り組む著者のビジネスが成り立っている時点で、そのテーマに興味を持つ読者は「確実に」いる。
しかも、お金を払ってまで解決したい切実なニーズを持っているわけだ。そんな層に向けて充実した内容の本を提供すれば、著者への問い合わせなどのアクションはとても喚起しやすい。

③長く棚に置かれやすい
先ほど述べたように類書が少ないということは、将来も類書がなかなか出てこないということだ。
つまり書店からすると、ニッチ本は発売から期間が経っても時々シブく売れていく書籍であり、かつその本を返品したところで同じ棚に差し替える候補がない。したがって長く棚に置いてもらえるし、売れれば補充してくれる。
実際、ブックマーケティングにおいて出版後5年など経ってもまだ反響が続いている、という声は決して珍しくない。
少しでも売れ行きが鈍ければあっという間に返品されてしまう新刊棚とは土俵の違う、台風の目で闘えるのだ。

まとめ

なかなか理解が難しいのだけれど、商業出版とブックマーケティングは同じ出版というスキームを使っていてもまったくルールの違うゲームだ。
ここまで述べたように、ブックマーケティングでは強者の戦略よりランチェスター戦略的な考え方が有利に働く場合が多い。
あまり既存の出版市場に対するイメージにこだわらず、ブックマーケティングならではの勝ち方を考えていきたい。

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