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PJ07-ナナメの関係(日常のバグ編)

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対立や従属の関係の間柄でプロジェクトを進めていく際、いかにナナメの存在が、その場を促進させたり、エンパワメントしていくのに有効か、というのを書いてきたわけだが、ナナメの存在が活きる関係として、最後は「単純な関係」に対しても言及したい。(今回は一人語りのようになってしまい、コラムとしては番外編的な位置付けになってしまった)

そもそも単純な関係といえば、”出来上がっている”ということ。売る人と買う人といった日常あるどこにでもある関係だ。そこに少しのエラーやバグのような仕掛けを施すことで、豊かなコミュニケーションや知覚の変化が生まれ、何気ない普段の街が、途端に魅力的であったり、ワンダーランドになったような感覚に陥る。

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私はいくつか日常に潜り込んだイタヅラのようなワークショップをいくつか手がけるが、そこでは設定やルールや道具がナナメの存在として日常に機能し、ファシリテーター役となって場を促進させる。私はこのような場を手がけるたびに考える。何が私たちをワクワクさせるのか。そして私は何を促進させたいのだろうか。私はどんな気持ちをエンパワメントしようとしているのか。

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<ツレヅレ市場弁当>
今では珍しくなってきた”個人商店の対面販売”の魅力を味わうワークショップ。空のお弁当箱がナナメ役として買い物行為にバグを仕掛け、商店主と参加者が共犯関係になるような豊かなコミュニケーションをもたらす。レポートはコチラ

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<知らない街>
生活圏内において今まで訪れたことのない(訪れる理由がなかった)街を、1日だけ特別な街(ワンダーランド)に変換するワークショップ。「”知らない”に身を任せる」がナナメ役となり、知覚にバグやエラーを仕掛け、街で過ごす時間を異日常化させる。レポートはコチラ

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<ワイルド午後ティー>
自分の暮らす日常風景を変えるワークショップ。「野草」がナナメ役となり、知覚にバグを仕掛け、見過ごしてきた隙間や空き地に視点をフォーカスさせ、雑草が固有名詞を帯びた瞬間に情報量と質に変化を及ぼし、調理を通し食材へと認識が変わる。山菜ではなく野草がポイント。レポートはコチラ

端的に言えば、愉快さ。遊び心。

ここでの紹介事例はいずれもささやかなものだ。しかし、できあがっている(と思われる)単純な関係にバグを持ち込もうとするのは、当たり前を見直す行為であり、その再検討は正解が見えなくなった時代において求められる態度だと思う。

ファシリテーターが見つめるものは、関係性であったり、個々人のエネルギーであったり、人と人との距離感や変化という見えないものである以上、普段の暮らしへの眼差しもかくあるべきじゃないだろうか。眼差しや感受性が鈍い人に場のファシリテートはできないと思う。

身近な世界をいかにたくさんの角度から楽しむか、楽しめるか。私は愉快さや遊び心を通して、より細やかな視点と変換させる仕掛けを養おうとしているのかもしれない。

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今までのnote記事
<プロジェクトのHOWTO もしくはAtoZ>

・はじめに
「平成」という時代とファシリテーター、ワークショップデザイナーに至るまで

・プロジェクトが始まる前に気をつけたいこと
プロジェクト型チームの危険性と心構え

・さあ!スタート!そんな時に
【コトの立ち上げ方、進め方】

・プロジェクト、少し慣れた頃の次のステップ
【プロジェクトが拡がるコツとチームづくりの一歩】

・プロジェクトを拡げるにはチームづくりから!
【プロジェクト型チームを作るコツと注意点】

・プロセスで衝突しがちな「そもそもさん」「とりあえずさん」
【ナナメの存在とプロセスデザインの話】

・組織内で進めるプロジェクトにおけるナナメ役の立ち回り方
【ナナメの関係の作り方(従属関係のある中、進めていくプロジェクトの場合)】

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今までのnote記事
<ワークショップの記録と振り返り>

「HOW TO or NOT HOW TO」(アイデア創出系)

「ツレヅレ市場弁当」(価値の変換、疑い系。出かけるコンテンツ)

「ワイルド午後ティー」(価値の変換、疑い系。出かけるコンテンツ)

「いつも何度でも(ワークショップデザイナーver)」(学びなおし系(メタ認知促進型))

「知らない街」(価値の変換、疑い系)



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