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2023年 4冊目『英語で読む万葉集』

これも松岡正剛塾の課題図書でリービ英雄さんの本です。

万葉集にたどりついた時、古い日本語というよりも、とても新しい文学に出会ったという不思議な感じがした。

万葉集を深く理解できる本でした。

比べるまでもなく、私よりも日本の事を語損です。

目次は以下です。

序 天皇というアイデンティティ 

Tell me your name!名告らさね

1 ちいさな「くに」の雄大な想像力

 Many are the mountains of Yamato 大和には、群山あれど

2 イメージの醍醐味、それは「映像」に使い

 White, pure white 真白にそ

3 世界第二の都市の、おおらかな文明

 The capital at Nara 奈良の京

4 太子の嘆き。日本語の根源的な感情は伝わるのか

 Traveler alas! この旅人あはれ

5 枕詞は、翻訳できるのか

 On a journey, with grass for pillow 草枕 旅にしあれば

6 柿本人麻呂、世界の古代文学の「最高峰」

 Plover skimming evening waves 夕波千鳥

7 Loveとは違った、恋の表現力

 Mountains, bend down! なびけこの山

8 千三百年の比喩

 Reeling like a great boat 大船の たゆたふ見れば

9 山上憶良、絶叫の挽歌

I have let fly the child 我が子飛ばしつつ

私がメモしたのは以下です

世界に例をみない、詩歌の集大成

→世界文学としての、万葉集

→七世紀末の日本語を、二十世紀末の英語に、書き写してみた

→翻訳は、発見と、再発見の連続だった

古代日本人の時間を現代の英語に訳す場合、そうしてもEmperorという言葉から始まる

→Poem by the Emperor

宮の所在する地名で表記される

詞書:その歌が詠まれた「とき」と「ところ」とその「情景」が書かれている

→TPO

万葉集は翻訳しやすい

→鮮やかな視覚イメージが伝わり易い

人麿が登場することによって万葉集が一まわりも二まわりも大きく見える

→大宮は、ここと聞けども・・・・

御心を、吉野の国の・・・

持統天皇(女帝)は人麿のパトロン:英訳する際ジェンダーをどうするか

対句:パラレル法:相対する二つ以上の句を対照的に並べて表現する修辞的技巧。例、.

「山紫に、水清し」

天の原 振りさけ見れば・・・

月を取上げる文学は世界中で多い

直訳すると音が良くないので、あえて誤訳した

田児の浦ゆ 打ち出でて・・・・

日本語文学の根源的な力の一つはイメージにある

動いている視点によって見えてくるイメージ

なまよみの 甲斐の国・・・

ことばでは言い表せないほどの威力を、言葉で描写している

不尽の嶺を 高み恐み(かしこみ)・・・・・

長歌への反歌

嗚呼見の浦に 船乗りすらむ・・・・

すらむ:推測の英語では美しさが出ない

世の中を 何物に・・・・

天皇から古事記までの幅広い歌人の中で

さみまんせい(沙弥満誓):出家した満誓は朝臣、宿祢、娘子でもない事を期待する

→人生を何にたとえようか。朝の港を漕ぎだした船の跡も残らないようなもの

あをによし 奈良の京は・・・・

当時奈良は世界第二位の年だった(一位は長安)

あをによしは訳せない

千鳥鳴く ・・・・

家から家へと「恋」のことばを贈る「相聞」

あな醜 賢しらをすと・・・・

大伴旅人とその周りの人たちの、独自の万葉集

わが園に 梅の花散る・・・・

大陸との交流の接点である大宰府で読まれた歌

采女の袖 吹きかへす・・・・

京の風が、京が(都)でなくなったからいたずらに吹いている

茜さす 日は照らせれど・・・

最後の惜しいは、regretfulではなく alas!

見渡せば 明石の浦に・・・

見ればを広げた見渡せばはgazing out!

秋山の 樹の下隠り・・・・

万葉時代のかなり早い時代から心理的な比喩が成り立っていた

老身に病を重ね・・・・

富人の 家のこどもの・・・・

苦しみのコーラスを編成している


▼前回のブックレビューもどうぞ。


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