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2017年 9冊目『進化しすぎた脳』

薬学博士の池谷裕二さんの著書です。

中高生と語る「大脳生理学」の最前線とサブタイトルがついています。

中高生と言っても慶応義塾ニューヨーク学院高等部の中高生のうち、この特別講義10日間に出たいと思った8人です。

かなりレベルが高い学生です。

本の中身は、池谷さんの8人の中高生向けの授業をまとめたものです。

池谷さんの話の中身や進め方がうまいのはありますが、学生の質問や理解のレベルが高すぎて驚きです。

中身も、本当に面白いです。

メモったポイントを書いておきます。

・脳は機能が局在化している。内臓はすべての場所が同じ役割をしているけれど、部分部分で専門化している。

・だから、ある部分をコントロールするとネズミラジコンなどをつくれる。

・人間の脳は必要以上に過剰進化している。

・脳を使いこなせているかどうかは体が大切で、脳の機能は体があって生まれている。

・従来は脳が身体を支配する、総司令部だと思われていたが、身体が脳を主体的にコントロールしている。

・つまり、脳と身体は分離できない。

・身体をすべて機械にしたアンドロイドは、身体からの脳への還元を忘れている。つまり、アンドロイドは人間ではない。

・心は脳が作り出している。しかし、脳は体と不可分。

・言葉=咽頭がある。ことにより脳が再編成された。

・言葉は信号、つまりコミュニケーションの手段だけではなく、抽象的な事を考えられるようになった。

・心を生み出すのは、この抽象概念、つまり言葉のおかげ。

・「見る」を能動的な行動だと思っていたが、錯覚や盲点などを補っていて、ありのままを見ていない。

・3次元の世の中を2次元にするときに強引に再解釈しているから。

・記憶はよく間違える。このあいまいさと学習の遅さが学びに必要。

・これは脳が情報を一般化=汎化するため。

・このあいまいさはシナプスによる。

・還元要素法だけでは分からない事がある。

・脳の中は複雑系。

これ以外にも、なぜアルツハイマーが起きるのか、どのように防げる可能性があるのかなど、医療の最善性の話も学べます。

お薦めです。

▼前回のブックレビューです。


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