見出し画像

2023年 33冊目『統計でウソをつく方法』

1968年に1刷り発行で2022年つまり54年後に105刷りされている本です。

英国のある政治家が言った言葉です。

ウソには3種類ある。

ウソ、みえすいたウソ、そして統計。

私たちが手に入れる情報にはたくさんの統計数字が並んでいる。

平均、相関関係、トレンドなどと言われているヤツです。

そう言われると、怪しい話も信じたくなります。

でも、統計数字やグラフは、必ずしも示された通りではないのです。

目に見える情報以上の意味がある場合もあるし、見かけより内容が無い場合もあるのです。

統計でだまされないために、統計でだます方法をこの本で知っておこうというのがこの本の趣旨なのです。

主催者は意図していないかもしれないけれど統計でだます方法を例示しておきます。

偏りはサンプルにつきもの

・某大学の卒業生の平均年収がとても高かった

→だからこの大学に入学しよう

しかし、この平均はどのようなサンプルなのか

→卒業者名簿に載っていてアンケートに回答した人

1 名簿に載っていない(引っ越したけれど大学に言わない)

2 アンケートは来たけれど回答しない

この1,2の人たちは、社会的に成功せず、年収が低い可能性が高い

また、アンケートに回答した人たちでも

1)正しく年収を回答した

2)ウソを回答した

と2)も混じっている。年収を多く言う人と少なく言う人が同じであれば良いのですが、この手の調査の場合は、見栄を張るケースも少なくないようです。

つまり、結果として、平均値はとても高くなるのです

また、1)を回答した人の中に大成功した人が含まれていると、それだけで平均値は更に高くなるのです。

また平均が正しく出るのはデータのばらつきが正規分布する時です。

しかし、データが正規分布するのは稀なのです。

偏っているのです。

平均給与も大きく偏っているケースが普通ですね。

ご存じだと思いますが、知能テストはまったくの眉唾です

当初はフランスで皆教育を始める際に、勉強する能力が劣っている子供を判別し、特別プログラムを組むために作られたのです。

ところが、これがアメリカに取り入れられると、優秀な人材を判別できると(何の根拠もなく)変わったのです。

それどころか、白人男性の優秀さを示すために、白人男性の正答率が高い問題を増やし、白人女性やヒスパニックや黒人の正答率が高い問題を減らしたのです。つまり、答えありきなのです。

実際、IQが高い人たちのその後を調べても、何らかの優秀さを示す結果など何一つ得られなかったのです。

グラフの軸の使い方や絵グラフでだます方法、こじつけた数字や、因果と相関をごまかす方法など様々なポイントが学べます

事例は古いですが、一読の価値はありますね。

最後にウソを見破る方法として5つ挙げています

1 誰がそう言っているのか?(出所に注意)

2 どういう方法で分かったのか?(調査方法に注意)

3 足りないデータはないか?(隠されている資料に注意)

4 いっていることが違ってはしないか?(問題のすり替えに注意)

5 意味があるかしら?(どこかおかしくないか?)

▼前回のブックレビューはこちら


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?