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中森貫太
2021年4月23日 14:58
いよいよシテが登場しました。重々しい次第の囃子に乗って舞台に入り、いよいよ最初の謡です。「作りし罪も消えぬべし。作りし罪も消えぬべし。鐘の供養に参らん」の詞章ですが、私はここが一番緊張しました・・・ここがマズイと曲の雰囲気が決まってしまいます。執心の籠もった、それでいて変に荒れたり苦しげな感じのしない美しい謡・・・いまだに上手くは謡えませんが気を使う部分です。観世流では小書(特殊演出)が附
2021年4月18日 12:32
今回からは舞台の進行に沿って書いていきます。幕内での囃子のお調べが済むと片幕で囃子方が登場します。服装は「長裃(ながかみしも)」が一般的です。重習以上の舞台は裃が基本ですが、その中でも道成寺は「別伝」と言う重い扱いなので長裃を着ることが多いのです。(薪能などでは汚れるので裃のこともありますが)囃子・地謡が座附くと幕が開いて、この曲の主題でもある「鐘」が狂言方によって運びこまれます。観世
2021年4月6日 14:12
まず道成寺を披く(初演する)事が決まると囃子方にご出演をお願いしなければなりません。多くは自分が習った先生を頼みますが、やはり「座付き(ざつき)」にこだわる方もいらっしゃいます。囃子方には全流儀のシテ方の謡に対応する手組が出来てはいますが、曲によっては詞章の違いなどで微妙に具合の悪い部分があることもあります。特に道成寺の場合は初めてのシテに神経を使わせたくないので一番具合の良い座付きの流儀を選
2021年4月2日 10:11
今回、長男 中森健之介が師匠のお許しを得て、「道成寺」を披くことになりました。道成寺は、若手能楽師の登竜門、というか、通らなければならない卒業論文のような意味を持つ、能楽師人生の大きな節目となる大曲です。どんな風に「秘曲」かというと、道成寺を披いたことのある人しか知らない口伝がいろいろあって、それを学び、次代へ継承するという意味でも、大きな意味を持つ曲です。秘事口伝を全部お話しするわけ