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夫に期待をしなくなったら気持ちが楽になった話

タイトルだけ見ると、なんだかうまくいってない夫婦みたいに聞こえるけれど、いろいろ考えた結果、うちの場合これがうまくいく、というのがわかったという話です。とりあえず書き進めます。

そもそも夫は家事全般苦手で、ひとり暮らしの経験はあるものの、結婚してからは私が家事のほとんどをしていました。
結婚してすぐに専業主婦になったので、家にいる方がやるのは当たり前だと思っていたし、新婚時代は特に、夫のために食事を作ったりアイロンかけたり、そんなことに幸せを感じていたのも事実。私が家事をし、夫は仕事に集中する。それが結婚当初の分担で、実際それでうまく回っていました。

ただ、子どもが生まれたあとは事情が変わります。
生活に「育児」が加わると、とたんに家事がハードモードになります。夫は夫なりに育児には参加してくれていたけれど、夫の仕事は朝早くから夜遅くまでだったこともあり、結局ワンオペ状態が常でした。はじめての育児に右往左往し、のちに長男に障害が見つかることから、さらに育児は大変になっていきました。私はだんだん最低限の家事しかこなせなくなり、部屋は荒れていきました。
夫は休日に車で買い出しにつきあってくれたり、家族でお出かけしたりということはしてくれましたが、家事という部分での協力はゴミ捨てくらい。
家事育児がしんどくて、時々夫に愚痴を言うけれど、「僕だって仕事でしんどい」と返されてしまえば、たしかに長時間労働でへとへとになっている夫を日頃見ているし、自分は仕事もせずにずっと家にいるんだし、と、何も言い返せなくなってしまいます。この頃が一番衝突しあっていたなと思います。

夫には仕事をしない休日があるのに、家事育児にはまったく休日がないことにずっとモヤモヤしていて、しんどさマックスになったとき、一度「私も家事を一切しない休日がほしい。今日は家事をしたくない」と夫に言ってみました。そこで返ってきた言葉が……
「そんなこと急に言われても困る。仕事だってそうだろう?休暇は事前に休む日を伝えて許可を得る。急に言われても対応できない」
この言葉を聞いた時、結局この人はなんだかんだ理由をつけて家事をしたくないんだなって、正直この先、一緒にやっていけないかもしれない、とまで思いましたが、これも今なら「いかにも夫が言いそう」と笑ってしまいます。それは今、精神的にも肉体的にも余裕があるからなんですけど。

ちょっと今しんどくて食器洗いしたくないな。たまには手伝ってほしいな、と思って「食器洗うのしんどい」と言うと「食洗機を買おう」という返事が返ってきました。
「いや、そういうことじゃなくて、今、洗うのしんどい」
「僕は洗いたくないから食洗機を買おう」

こんなやり取りを何度かして、そのたびに「だから食洗機を買おうって言ってるじゃん」と返されます。
正直、うわあ……これは本格的に家事を手伝わない人だぁ……と落胆したことを覚えています。このときは腹が立って仕方がなかった言葉だけれど、長年連れ添って夫という人を理解してきた今なら、きちんと代替案を出して、最終的には本当に食洗機を買ってくれたので、家事が苦手な夫に、家事を期待してしまっていたがゆえのモヤモヤだったのだなぁと思います。

夫は大病を患い、今のところ命に別状はないものの、薬の副作用で無理ができない身体になってしまい、それでも定年までしっかりと働き続けてくれました。とても感謝しています。
夫が病を患ってからは、仕事に行って帰ってくるだけで精一杯だったので、必然的に家事・育児は、ほぼ全て私の分担になったわけですが、逆に「夫には頼れない」という状況になってからの方が、気持ち的には楽でした。

子どもたちが大きくなり、やっと私にも少し余裕ができて、パートで働きはじめましたが、共働きになっても結局家事は全て私がやるしかなかったので、体力的になかなかきつく、子どもの塾代や大学の授業料を賄えるくらいはと、その期間だけ、なんとか頑張り抜きました。
仕事はゆるゆると長く続けていきたかったのですが、勤め先の事情で、一日立ちっぱなしの8時間労働を週に5日することになってしまい、そんな状況をしばらく続けているうちに私の身体に支障がきてしまったので、今はまた専業主婦です。

そして夫が定年退職となった時、仕事がなくなるのだから、これからは夫に家事を少し手伝ってもらえると思いました。
手始めに、夫は散歩が好きなので、散歩のついでに買い物を頼むようになりました。買い物は夫の「苦手」ではなかったので、すんなりと手伝ってもらえました。
しかし、食事の準備や後片付けは、「テーブルを拭いて」のように、声をかけたところだけはやってくれますが、そのあとコップを出したり、箸を出したり、というところはしないので、いちいち個別に声掛けをしていました。そして次の日もまた、テーブル拭いてとお願いすると、テーブルは拭くけどそこで終わる、みたいなことが続いて、なんで言われたことしかしてくれないんだろう、とモヤモヤ。夫も手伝いたいという思いはあるようで、でもなんというか、お互い気持ちが噛み合わず、どうもぎくしゃくしていました。
夫が仕事をしているときには感じなかったモヤモヤが、定年退職後に再燃していることに気づき、私の日常は夫が働いているときとなんら変わりないのに、なんでこんなにイライラするのだろう。逆に夫が手伝ってくれることが増えたはずなのに、と考えたとき、ああ、私はまた勝手に「定年退職した夫は家事を手伝ってくれるはず」という期待をしてしまったのだな、と気づきました。
夫は家事が苦手なんだし、私は家事が好きではないけれど、長年続けてきて得意なのだし、ならば得意な方がすればいいや、と割り切りました。

これまで通りやっていこう。

そう気持ちを切り替えたら、なぜか夫がどんどんお手伝いをしてくれるようになりました。夫は夫なりに、自分のペースやタイミングで、自分のできることを日々の家事の中から見つけてくれていたみたいです。

付け加えると、夫はここ数年かけて少しずつ、私が思い描く機能的なキッチンにリフォームしてくれました。一番欲しかったビルトインの食洗機も!
いろいろ買い替えたのでお金がたくさんかかりましたが、夫のおかげで、家事の効率がめちゃくちゃアップしました。そうやって、夫は夫のできることを、これまでもしてくれていたのになぁ、と。
勝手に期待するからモヤモヤするんですよね。してもらったことに感謝をしつつ、これからも心穏やかに暮らしていきたいと思います。

……家事の話だけだとダメな夫みたいになってしまうので念のため補足しますが、夫は家事が苦手ですが、私はパソコンとか機械まわりが苦手で、そういうところは夫が全てやってくれますし、他にも家具の組み立てや力仕事などは率先してやってくれます。お互い苦手な部分を補いあい、うまくやっています。
得意不得意は人によって違います。完璧な人間などいませんし、夫も私もダメな部分はたくさんあります。それを互いに認めあった上で、我が家に合った分担をして、今の時代には合わない価値観かもしれませんが、無理に合わせる必要もないのかなと。
主婦にも休みが欲しい~と時々愚痴を言いながらも、なんだかんだ楽しく暮らしています。
なにより、少し前なら死を覚悟しなければいけないような病気にも関わらず、良いお薬のおかげで今日も散歩に出かけることができる夫。ありふれた日常を送れることに感謝です。

追記。その後↓


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