【小説】「喫茶ひなたに春が来て」第6話
〈 光司 〉
レンジで柔らかくして、種と皮を取ったかぼちゃを裏濾しする。黄色ではない、いっそオレンジ色と呼べそうな、豊かな色彩がボールに広がる。暖かな香り。このまま生クリームを混ぜて団子にするだけでも充分旨いだろうな、と思う。その誘惑に負けないよう、ペースト状になったかぼちゃの上に勢いよく小麦粉をかけて混ぜ込む。パルメザンチーズとナツメグも次々と投入する。機械的に手を動かせばいい段になって、やっと光司は大理石の調理台に乗せてある置き時計を見た。
まもなく夜中の二時にな