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共作小説【白い春〜君に贈る歌〜】第4章「好きって伝えたかったら、嫌いって書けばいい」⑤


……見えてくるのは、


熱気に包まれたステージ。

伝説のカリスマの登場前。

ただ一人、決然として立っている。


悪いが今は自分の時間だ。

表現者として立つからには、

絶対に負けられない戦い。


物怖じせず、澄んだ声を張り上げる、

若きアーティスト。


静まり返る場内。

新たな才能の登場に、驚きが駆け巡る。

周囲の期待を一身に集めていく。



……聴こえてくるのは、


澄み渡る青空のように切なく、

春風のように温かく吹き抜けていく歌声。

どこか懐かしく、

人の心を軽くする不思議な力がある。

優しさのなかに、力強い意志を感じる。

まさしく、天からのギフトだ。



……次に感じられるのは、


足を掬われ、翼をもぎ取られるような痛み。

大切なものを失った喪失感。

不意打ちの如く、背後から刺されている。

傷口は深く、出血が止まらない。

瀕死の重傷を負い、

さらに追い打ちをかけられる恐怖。

羽を休める場所が見つからず、

次第に息絶えていく。



……どうしてそうなったの?

優しすぎる。

人の痛みを背負いすぎる。

誰かの人生のために、

自分の人生を犠牲にしすぎる。



もっと自分を大切にしなよ。

こんなところで終わる君じゃなかった。

まだ伝えるべきことが、あったでしょう?

溢れんばかりの、情熱があったでしょう?



今もまだ、過去の傷跡が疼くんだね。

できることなら、

その苦しみ、代わってあげたい。

消えない傷を癒したい。

そう思って生きてきたけど、

私にはもう時間がない。

だから、命の源にすべてを託します。



あなたの本気、こんなものじゃないでしょう?

散りゆく前に、頼むから一花咲かせてください。


私ずっと、待ってるんだから。

ずっとずっと、あなたが輝くの、

待ってるんだから。



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


【詩】「羽ばたく世界を」
(三鶴✖️仲川光)



あなたには 見えてるの?

夢の続き 背中の翼が


私には 見えてるよ

あなたの傷に 涙溢れるほど


出会った時から ずっと 待ってた

あなたが 羽ばたく世界を


でも そろそろ 時間がないの

寂しさに 春風が吹く 


飛花落花 時は今しかない

このままじゃ なかったように 

消えてしまうから



飛び立て 虹色の世界

走り出せ 勇気振り絞って

響かせてよ 君の魂の歌を 


聴いていたい 今日の出来事を

君の歌声で 心向くまま

私があの空を 怖くないように



突っ走って ぶち当たって 

崩れ落ちそうなハートで

翼折れて 泣き尽くして 

それでも生き抜いてきた君へ

忘れないで 本当の自分の姿を 

君は光の天使



命燃やせ 生きている限り

伝えたい 大切な言葉を

咲かせてよ 君の魂の花を


届けたい 明日の出来事を 

私の歌声で 声が枯れても

咲いていくんだ 私のいない世界で



あの日見た 夢もう一度 

2人で空に誓って

自分信じて 突き進んで 

今ならそばにいてあげられるから

逃さないで 

永遠の後悔 残さないために


消えていくよ 消えていくよ

今を 抱きしめて

永遠 感じて



飛び立て 虹色の世界

走り出せ 勇気振り絞って

響かせてよ 君の魂の歌を 


聴いていたい 今日の出来事を

君の歌声で 心向くまま

私があの空を 怖くないように


命燃やせ 生きている限り

伝えたい 大切な言葉を

咲かせてよ 君の魂の花を


届けたい 明日の出来事を 

私の歌声で 声が枯れても

咲いていくんだ 私のいない世界で



繋ぎとめるもの 私がなりたい

この意味がわかるでしょう?


あの日の桜 胸にさようなら

旅立ちの空を点眼して 

ああ さようなら


今ここで 君の闇は消えた

黒い春は終わり

花の白さの中 歩いていける


出会えた奇跡 無駄にしないで

神様からのプレゼント


あなたのことが嫌いなの

この意味がわかるでしょう?



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前回の物語はこちら↓↓


【白い春~君に贈る歌~】全編まとめはこちら↓↓



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