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下請け業者でも反論していい。ケンカのやり方【月刊(本当は週刊だけど)お気楽フリーランス論Vol.14】ただし「勝てるケンカ」しか仕掛けてはいかん

フリーランスって色々と理不尽な扱いを受けますよね。大御所の皆様方は違いますよ。しかし、特に若手のフリーランスなんて、買い叩かれるわ、散々準備していたのに「やっぱ仕事なくなっちゃった~」みたいなことが時々ある。

しかし、「お仕事をくださる方だから感謝しなくちゃ……。今は我慢、我慢。今度、おいしいお仕事をこの方はくださるはず」なんて思うも、この発注主は「ごめんね~! 異動して今度、営業になっちゃったからこれからは直接仕事できなくなるね~!」なんて安易に言いやがる。

「いつか貴様に『先生! なにとぞ私どものお仕事をしてください!』と言わせてやる」なんて思うも、そいつの方がどんどん出世していって自分のことなんていつしか忘れている。社内で子分引き連れ颯爽としているところに頭を下げると無視される。悪気があるのではなく、要するにオレのことを覚えていないわけですよ。

実際、すべて上記は私が経験した話です。

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当時のワシなんて、エラソーにできたのは、こういうアホ写真を撮る時ぐらいですよ。一体どんなシチュエーションかは分からないけど、多分「ファミコンカセットを子分に見せびらかせて『頼むから貸してくださぇ~』『貴様がワシの子分になるのであれば貸してやる』みたいなスネ夫的写真」が何らかの企画で必要だったのだと思います。

さて、ケンカです。ケンカをするからには明確な理由が必要です。そして、重要なのが「正当性」ってヤツです。正当性ってのはすなわち「相手がいかにヒドいか」「自分がいかに被害を受けたか」「あまりにも理不尽な扱いを受けた」「ここでケンカしないと仕事が完遂しない状況になっている」ということですね。

事件の数々。その前に、「初めての仕事で相手を安心させる振る舞い方」

「怒り」というものは、小出しにするのではなく、相手が薄々感じ始めている中、一気に畳みかける必要があります。不満を抱いている様は時々見せつつも、キチンと仕事を行い、ある時ドカーンとキレる。その方が効果は高いと思います。具体的にオレがやってしまったキレ&ケンカ事件は目次の通りですが、けっこう多いですね。

さすがに相手もいることですから、無料部分でケンカについて書くわけにもいかないので、先日同業者から聞かれた「初めての仕事で相手を安心させる振る舞い方」についてちょっくら書いてみます。

これまでとんでもない数の企業と仕事をしてきましたが、初顔合わせの時って「この人本当に大丈夫だろうか……」と思われるんですよ。特に私の場合、上記写真のように夏はヨレヨレのTシャツ・短パンという恰好で、ニート感満載なんですよ。

「振る舞い方」と書きましたが、実はそれ以前に、「紹介者からのフォロー」ってヤツが非常に重要です。初めての仕事をする場合って大抵は紹介者がいるわけで、その人がどれだけあなたのことを「信頼できますよ!」とやってくれるかが肝。もちろん、紹介者自身もヘンなヤツを送り込んでしまったら自分自身の顔がつぶれるため必死にフォローしてくれるでしょうが、フォローしてくれるだけの実績が必要です。その「実績」というものは、何でもいいのですが、「誰もが知ってる何か」を伝えることが重要です。

ライターになった初期の頃、『日経エンタテインメント!』の編集者が私を連れて取材に行く時、彼が毎度苦笑しながら取材相手に言っていたのは「この人、こう見えても博報堂にいたんで安心してください。こんな見た目ですが、試験通って会社入ってるので大丈夫です」という一言でした。

この時に「大企業にいたってキャリアは勝手に『まともな人』認定になるんだな!」と思いました。それと同時に「人は安心感をとにかく欲しがる」ということが分かりました。私はスヤマミヅホさんというイラストレーターと後に仕事をするようになるのですが、彼女は元々デザイン会社でデザイナーをしていました。私は博報堂の社員として、彼女の会社に発注をしていました。しかし、やっぱりイラストレーターになりたい! ということで突発的に会社を辞めますが、そんなにイラストレーターの仕事があるわけではない。と思っていたら私が博報堂を辞め、「よし、オレら組もうぜ」という話になります。

私はフリーライターになって5ヶ月後には「テレビブロス」の編集者にまんまと潜り込めたため、スタッフ選定は自分に権限があります。友人でもあるスヤマさんをスタッフに組み込む際に言ったのは毎度「この人と一緒にオレはいつも博報堂で仕事してました。信頼できる方ですよ」です。元々日経エンタ! の編集者が使った「博報堂」をここでも使ったら、普通に信用してもらえました。結果的にスヤマさんとは色々仕事しました。

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カエル占いのカエルです。というか、「ピョン吉」ですが、「ソルマック」のCMなのに文中では「チオビタドリンク」になっているという誤植をしでかしました……。「大鵬薬品」→「チオビタドリンク」という思い込みからそう書いてしまい、写真を手配してくれた東急エージェンシーの方にはお詫びしました。「まぁ、大鵬薬品さんの商品と間違えてくれて良かったです。まだクライアントには説明つきますので」と許してもらえました。

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「登場 全経絡秘孔大図鑑」のモヒカンの男のイラストです。

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ここのラーメン店の店主等のイラストです。

というわけで、信頼感を得るには「紹介者に自分を持ち上げてもらう」というのが一つと、もう一つは淡々とした喋り方で「はい、分かりました」「はい、やりますね」と言うことです。本当にコレは効く! 内心はおどおどしていても、無表情で淡々とこの2言を言えば信用してもらえることが多い。「おっ、この人、自信あるな」と思ってもらえるのです。それではこれまでの私のやってきたケンカとそのやり方について。最初の「デザイナー追放事件」については、私はまだ全然駆け出しのペーペーでしたが、結局ケンカに勝つことができました。ペーペーでもやり様によっては勝てるのです。

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