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年商146億円の呉服業界の寵児が倒産した理由

どうも!ブランドクリエイターの中江です。

今日は「年商146億円の呉服業界の寵児が倒産した理由」というテーマでお話していきます。

僕のInstagramでは、3投稿に1つ

「倒産の世界〜絶対にやってはいけない経営戦略」というタイトルで、

これまでに倒産した企業の失敗事例から、取るべき経営戦略を学ぶというシリーズを投稿しています。

そして、最初に取り上げたのが「友禅の館」という金沢の着物販売会社です。

友禅の館は、1991年に倒産しました。

友禅の館は、88年に33億円、89年に56億円、90年に146億円の売上を叩き出し、「呉服業界の寵児」と呼ばれている会社でした。

91年にも270億円を超える売上の見込みはありましたが、倒産しました。

当時、収支管理や商品管理のずさんさ、幹部社員の離脱など、様々なことが、メディアで倒産の原因として指摘されていました。

確かに、そういったことも原因として考えられるとは思いますが、僕は、本質的な原因はそこにはないと思っています。

僕は、本質的な問題点は

友禅の館がブランドとしての理想を持っていなかったこと

だと思います。

ブランドの理想とは

どんな人に提供したい?
どんな着物を着てもらいたい?
着物を購入してくれた人にどうなってもらいたい?
なぜそう思うのか?

という事業の土台のことです。

友禅の館には、こういった理想はなく、あったのは「売上の拡大」という目標のみでした。

実際に友禅の館が標榜したのは

呉服の価格破壊

です。

とにかく「価格の安さ」を訴え、テレビCMやチラシで広告し、全国で大規模な展示会を年間1000回開催し、集客しました。

「大きもの博」と呼ばれた展示会はとても大規模なものでした。

1000枚以上の畳を敷き詰めた会場に、着物5000着、帯3000本、商品総額50億円を並べ、平日でも売上は1億円を超えました。

バブル景気も追い風となりました。

ですが、バブル崩壊後、消費需要が減退し、どれだけ宣伝しても、展示会に人が集まらなくなりました。

友禅の館は「着物を買ってもらうこと」を事業のゴールとしていました。

ですが、購入をゴールにしてしまうと、その後の顧客との関係性は継続しません、

会社を経営していると、

バブル崩壊
インターネット社会の到来
アメリカ同時多発テロ事件
リーマンショック
東日本大震災
コロナウイルス

などの外部環境の変化は必ずやってきます。

その時に勝負の決め手になるのは「どれだけファンがいるのか?」ということです。

ファンは「価格が安いから選んでいる」「商品の質が良いから選んでいる」という功利的な存在ではありません。

このブランドの理想に共感している

という存在です。

そういう存在は、会社が苦境にさらされた時に支えてくれます。

コロナショックの際に多くの店や企業がクラウドファンディングを立ち上げましたが、成功したのは、ファンがいたところだけです。

売上の拡大を事業の目的に掲げるのではなく

どんな会社を目指すのか?

という理想を事業の根本に据えることが大事です。

ファンは理想に共感してこそ生まれる存在です。

もし、友禅の館に、

こんな人に
こういう着物を着てもらいたい
着てもらった人にこうなってもらいたい

というような理想があれば、恐らく倒産のような事態は起きてなかったでしょう。

幹部社員は、社長に、無計画な仕入れ、商品管理のずさんさ、経理処理の不明瞭さなどを進言していましたが、聞き入れられなかったそうです。

ですが、もし、正しい判断ができる経営者であれば、その経理処理の不明瞭さを放置していれば、最終的には、関わる人全てに迷惑をかけることになることは想像ができるはずです。

これも理想がなく、売上にしか興味がなくなっている時に起こる事態です。

では、今回は以上になります。

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