ショート・ショート「批判殺到」
公園の木々が切られることになった。
「批判殺到」。
しかし、誰もそれを止めることはできなかった。
森があった公園は、単なる広場になった。
そして最終的には駐車場になったが、もはや、利用する人は少なかった。
力を持たない人は消去されることになった。
「批判殺到」。
これには力を持つ人々も反対した。
丸投げ先が少なくなるからだ。
しかし、力を持つ人々も、この時ばかりは、
上には上がいることを思い知らされた。
そしてやがて、「批判する」という行為により、
脳内に快楽物質が分泌されることが明らかになった。
脳に関わる研究の成果だ。
「批判」には「恐怖」と「不安」を和らげる効果があった。それはランナーズハイに少し似ていた。
「批判」は麻薬のようなもので、依存症を生み出すものだった。
しかし、「批判」することの喜びから逃れられる者は、ほとんどいなかった。
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