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俳句手帖

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2020年8月から俳句はじめました🌱 俳号は加那屋こあ
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2021年3月の記事一覧

リコーダー天に囀ずり春動く

四重奏ヴィヴァルディ吹き春動く

笛の音は英国の風春萌す

群青に溶けパヴァーヌや春の宵

散りばめし音符が春の星となり

笛吹きの指の白さや冴返る

加那屋こあ
2021.3.2

刷毛先に長く伸びたり春埃

春塵や先頭で待つ赤信号

霾るや薬局ばかりの商店街

加那屋こあ
2021.3.18

空模様濁点多し春嵐

春塵や買置き底を尽きにけり

艶噺白足袋濡れて柳かな

加那屋こあ
2021.3.21

引込の線路酸葉に汽車眠る

すかんぽや貨物列車の通過待つ

加那屋こあ
2021.3.24

同門の友と連れ立ち春コート

春泥や一語一句を全身で

加那屋こあ
2021.3.23

蒜や隅で干からび一欠片

蒜の臭う上司の長話

蒜の薄皮指に残りおり

数字より目に見えぬもの三月尽

加那屋こあ
2021.3.31

春装の新任教師並びおり

母と娘の好み似てきし春の服

春服の双子姉妹や色違い

加那屋こあ
2021.3.30

隣家より貰ふ物種蒔きにけり

一鉢に物種蒔ひて赴任先

加那屋こあ
2021.3.29

春朧障子の影も笑いけり

黒犬の斑になりて散る桜

春田打つ向こうジェットコースター

加那屋こあ
2021.3.28

共鳴すバロック弓や春障子

長調の通奏低音青き踏み

鷹鳩と化して聖書を膝に置き

加那屋こあ
2021.3.27

朧夜や寄席満場に笑い声

テケツから初蝶見やる看板猫

加那屋こあ
2021.3.26

非表示は出ないと決めて春炬燵

ものの芽に触れて生きてる生きてみる

卒業やメトロノームの消えゆきて

加那屋こあ
2021.3.25

龍天に登る護岸を黒く染め

寺町の暗渠辿りし糸桜

加那屋こあ
2021.3.22