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俳句手帖

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2020年8月から俳句はじめました🌱 俳号は加那屋こあ
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2020年11月の記事一覧

よろしくと熊の毛皮を尻に引き

猫の仔は毛皮違いの三兄弟

午後三時みぞおち温し蕎麦湯かな

加那屋こあ
2020.11.30

散髪す霜月最後の日曜日

鍋いつぱい切干絞る寡夫かな

加那屋こあ
2020.11.29

凩や樹洞を覗く赤毛犬

風抜けて大樹の洞や神迎

花梨の実各駅停車見下ろせし

はばかりつ乳房含みし花梨の実

加那屋こあ
2020.11.28

神無月特急と我並走す

朱き香の白菜漬けや高架下

同化して壁沿い冬の外回り

加那屋こあ
2020.11.27

じつと見る表面張力冬の朝

芭蕉忌やドライブスルー四号線

加那屋こあ
2020.11.26

真白き種ただ拾う夢冬の朝

磨りガラス指でなぞりて冬木の芽

雪吊りの黒棕櫚縄が凛として

加那屋こあ
2020.11.25

流行歌調子外れや冬の暮

夜廻りの煎じ薬や二番を持て

花八手見知らぬ猫が通り抜け

加那屋こあ
2020.11.24

今川焼ノートの借りや下校道

七五三混みあう鳥居カメラ手に

前のめり銀杏拾いのお婆さん

加那屋こあ
2020.11.23

小雪にヒマラヤ杉が風邪をひき

寒声や応援団のたすき掛け

加那屋こあ
2020.11.22

焼芋や小児科帰り母が子に

罪深きバター焼芋ホットミルク

床の傷見て見ぬふりの日向ぼこ

加那屋こあ
2020.11.21

持ち帰る腕にずしりと冬野菜

くるまりし湿り毛布や明日は雨

頷いてばかり夜話画面越し

無精髭房ごと蜜柑頬張りて

番頭が右往左往の蜜柑かな

加那屋こあ
2020.11.20

四十過ぎ蕎麦湯の旨さ分かる歳

小春空コートの釦二個外し

雪吊や印半纏縄を張り

加那屋こあ
2020.11.19

お茶ひいて紋日近づき木の葉髪

まだ暗き朝吸入器枕元

加那屋こあ
2020.11.18

浮寝鳥ヨガの女は深呼吸

水鳥が青赤緑の色分かち

冬の灯に四つ打ち響き丸山町

奥渋谷更地に振りし冬の星

加那屋こあ
2020.11.17