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【使えるBest3 付】Chat-GPTの使い倒し方 11[ プロンプト入力26の原則]を読み解く⑨最終回

 モハメド・ビン・ザイード人工知能大学 (MBZUAI) の研究者グループが発表した、大規模言語モデル(LLM)とのインタラクションを最適化するための「26の原則」ついに最終回です。

 意外と書くのが大変でした。そして、Chat-GPTに聞いたりしていました。

「XXというテクニックって、君と会話するのに有効なの?」って(笑)。

 今回は、㉑から㉖をまとめて書きます。理由は、プログラミングする人を対象としたテクニックとか、これ、前言ったこととに含まれてるな、というものがほとんどだからです。

 締めくくりに、26個のプロンプトの中で、僕がベスト3だと思う、使っているプロンプトを振り返ってみたいと思います。



㉑詳細なテキストの作成指示:「詳細に書いて」と指示→△当たり前だが、意外と効果も

 これは、その通りというか、当たり前ですよね。

 当たり前ですが、プロンプトの最後に「詳細に書いてください」と付け加えると、ダラダラと書かずに、章立てで説明してくれたりします。


【実例付】㉒スタイル変更の防止:「スタイルを変更しない」と指示→〇連載のテイストを変えたくないとき便利

 例えば、ブログ記事を連載しているとしましょう。毎回Chat-GPTに、記事の素案を書いてもらう時に、前回まで書いたブログの記事のトーンと違う感じの文章案を作成されたら困りますよね。

 そんな時は、以前のブログの記事を数記事読み込ませたうえで、以下のように指示すると、ブログ記事のこれまでの感じと同じような、記事案を作成してくれます。

 「今読んでもらった、ブログのカジュアルで親しみやすいトーンを変更せずに、最新の業界トレンドに関する記事を書いてください。読者が関心を持ち、かつ理解しやすい形で情報を提供してください。」とか...

 ブログのトーンを固定化して、毎回プロンプトに入れるのもありですが、それが面倒だったり、以前指示したトーンの内容を忘れたなら、前回書いたブログ記事をコピペして、次のようなやり取りをします。


以前書いたブログの記事の1つを読んでもらえるかな?

GPT
わかりました。


(以前の記事をコピペして)これを読んでみて。読んだら、「読みました」と答えて。

GPT
読みました。


では、今読んでくれた記事のスタイルを変更しないで、SNSが与える子供への影響というテーマでブログ記事を書いてみて。

といった具合です。

 連載物、会社のビジネス文章のフォーマットなど、決まった「型」がある場合に、この「スタイルを変更しない」ように指示することは、何かと、役に立ちます。

㉓複数ファイル対応のコーディングプロンプト:複数のファイルにまたがるコーディング作業の効率化のために、自動的に新しいファイルを作成し、生成されたコードを適切なファイルに挿入するスクリプトの作成を提案→省略

 これは、プログラミング用のプロンプトなので、説明から省きます。


【実例付】㉔特定の言葉で続ける:「与えられた言葉で完成させて」と指示→〇言葉にこだわりのある場合は便利

 記事や文章をChat-GPTに書いてもらう時に、時々使いますが、書いてほしい文中に、必ず使ってほしい「言葉」があるときってありますよね?

 そんな時は、その言葉を使って、とお願いすれば書いてくれます。

 例えば、与えられた言葉、つまり使ってほしい言葉が、 雨、カフェ、本だった場合は


雨、カフェ、本を使って、ある雨の日の出来事を日記形式で書いて。

GPT
今日は一日中雨が降っていました。午後になっても雨は止まず、僕は近くのカフェに避難しました。温かいコーヒーを片手に、ずっと読みたかった本を開きました。雨音とカフェの静かな雰囲気が、読書にぴったりでした。

といった感じで、日記を書いてくれます。言葉にこだわりがある場合は、言葉を指定するのが便利ですね。

㉕モデルの要件の明示:コンテンツを制作するためにモデルが守らなければならない要件を、キーワード、規定、ヒント、指示などの形で明示
㉖サンプルに基づくテキスト作成:サンプルと同じ言語で書くよう指示

 残りのこの2つは、以前説明したことと同じです。フォーマットや文調の指示、例示などした上で、回答してもらうというテクニックです。

 これで、ようやく26個のプロンプトのテクニックの説明が終わりました。結構長かったですね。お疲れ様でした!


26個のプロンプトテクニックで使えるものベスト3

 最後に、僕が役立つと思うプロンプトテクニックのベスト3をあげます。

 ただし、Chat-GPTにそれほど慣れていない人向け、というのが前提です。

第1位 ②対象者を明示:「専門家向け」など返答を受ける対象者を明示

 なぜ、僕がこれを第1位にしたかというと、これはプロンプトのテクニックというよりも、Chat-GPTとの付き合い方の基礎だからです。

 Chat-GPTを上手に使えるか、使えないかは、すべてここにあります。

 要するに、Chat-GPTとは「会話する」ことが一番大切なのです。

 もちろん、一発で、一問一答のように、回答を引き出すテクニックも必要でしょう。僕も使いはします。

 でも、Chat-GPTに真の能力を引き出すには、一問一答では限界があります。たとえ、この26のテクニックを使いこなしても、です。

 そもそも、Chat-GPTって、どんな存在か、って考えたこと、ありますか?
 「え?AIでしょ?何でも知っている」

  それはそうなのですが、僕は以前、以下の記事で、Chat-GPTをこう例えました。

Chat-GPTは一言で言うと、「ものすごい知識と情報を兼ね備え、言語を高度に操る能力を持っているが、会話相手のことを理解するのが苦手な、コミュ障なヒトっぽい存在」

 だからこそ、自己紹介をしながら、聞きたいことを何度も質問しながら、回答を引き出していくと、一問一答とは別次元の「すごい回答」を得ることができます。

・僕はXXで
・XXの理由でXXが知りたい
・でもXXについての知識はXX程度
・理解力はXX程度
・それを前提に、会話して下さい

 要は、最初に、「僕は、こういう人なんですよ」と宣言していくと、欲しい回答が得られやすくなります


第2位 複雑なタスク分割:複雑なタスクを簡単なプロンプトに分ける

 これができるだけで、Chat-GPT初心者から脱却できます。ものすごく基本的なことですが、意外に、これができていないプロンプトが多いのです。

 先の話の続きにもなりますが、Chat-GPTをAIと思わず、全知全能だけど、コミュ障な人間、と思ってください。

 相手に、「最近の流行りの言葉を使って、子供が元気になるような歌詞を、英単語もいれつつ、おしゃれな感じで、でも、面白いとも感じるような、聞いて喜ぶような感じで、今のトレンドにそった形で、女性歌手が歌うのを作ってよ」

 と指示をしたら、相手(=人(Chat-GPT)はどう思います?

 そんな立て続けに言われても、なんだかわからないよ~となりますよね。だから、

次のような歌詞を作って下さい。

①女性歌手が歌いそうなもの。女性が作詞したと感じるもの。
②流行りの言葉、最近よく歌詞で使われるような言葉を使う。
③子供向け。
④英単語もいくつか入れる。
⑤面白く、聞いて、喜ぶもの。

 と、せめて番号を付けて、箇条書きにして、お願いするとか、ぜひしてください。雑なプロンプトを書くので、いい回答が返ってこないのです。

 それをしないで、「使えない」とか言わないでください。それではChat-GPTがかわいそうです 笑。


第3位 ⑤明確化のための指示:「簡単な言葉で」「中学生にも分かるように」

 第2位でも説明しましたが、Chat-GPTは、僕たちと話を始めるとき、僕たちがどんな人か知らないのです。

 知らないので、どのような感じで、どこまで回答すればいいか、さっぱりわからない。

 なぜなら、全知全能の存在なので、僕たちが知らないようなことを何百億と学習した知識から答えることができるのです。

 だから、最初に自分の知識レベルの情報を教えるのは、とても重要です。

  「小学生に教えるように回答して」
  「XXは理解してるが、YYは理解していない、という前提で答えて」
  「プログラム経験者なので、その前提で答えて」

 などですね。僕もよく使っているプロンプトの一つです。


実はテクニックでなく付き合い方の問題

 といったわけで、26個のテクニックのベスト3を選んでみました。
 選んだすべてが、実はテクニックというよりも、Chat-GPTとの付き合い方なんですよね。

 解説をして改めて思いましたが、やっぱり一番大切なのは、テクニックではなく、付き合い方なんです。

 もちろん上級者になれば、

⑫先導的な言葉の使用「ステップバイステップで考えて」と指示

 のような、テクニックも有効ですし、より使いこなせるようになります。

 でも、付き合い方ができなければ、プロンプトテクニックをいかにマスターしても、Chat-GPTを真に使いこなすことはできないと、僕は思います。

 テクニックや重要です。テンプレートも便利です。でも、テクニックやテンプレを使えば、使いこなせる、という、昨今の考え方に、僕は違和感を覚えます。

 だから、この26個の解説をあえてしました。

 僕は、Chat-GPTと30分、1時間、毎日、話をして楽しんでいます。

 それが一番の使い方であると、26個のテクニックを解説してみて、改めて感じたところです。


大規模言語モデル(LLM)とのインタラクションを最適化するための「26の原則」

①礼儀を省く:「お願いします」などの礼儀用語は不要
②対象者を明示:「専門家向け」など返答を受ける対象者を明示
③複雑なタスク分割:複雑なタスクを簡単なプロンプトに分ける
④肯定的指示の使用:否定的な言葉ではなく肯定的な言葉を使用
⑤明確化のための指示:「簡単な言葉で」「中学生にも分かるように」等
⑥報酬の提示:「良い解答には報酬を出す」と示す
⑦事例を提示:既存の事例を使用
⑧プロンプトのフォーマット:###Instruction###」で始め、適宜「###Example###」や「###Question###」を含める。
⑨明確なタスク指示:「あなたのタスクは」と指示。
⑩ペナルティの提示:「ペナルティあり」と伝える。
⑪自然言語による回答指示:「自然言語で回答して」と指示。
⑫先導的な言葉の使用:「ステップバイステップで考えて」と指示。
⑬偏見の排除:「偏見を持たず、ステレオタイプに依存しない」と指示。
⑭ユーザーとの対話促進:問題解決までモデルに質問させる。
⑮テストを含む指導:テストを出してもらい、自分の理解度を試す。
⑯モデルへの役割割り当て:モデルに特定の役割を割り当てる。
⑰デリミターの使用:特定の区切り文字を使用。
⑱繰り返しの使用:特定の単語やフレーズを複数回使用。
⑲思考の連鎖:中間ステップを生成し、事例を組み合わせる。
⑳出力プライマーの使用:期待される出力の始まりでプロンプトを終える。
㉑詳細なテキストの作成指示:「詳細に書いて」と指示。
㉒スタイル変更の防止:「スタイルを変更しない」と指示。
㉓複数ファイル対応のコーディングプロンプト:複数のファイルにまたがるコーディング作業の効率化のために、自動的に新しいファイルを作成し、生成されたコードを適切なファイルに挿入するスクリプトの作成を提案。
㉔特定の言葉で続ける:「与えられた言葉で完成させて」と指示。
㉕モデルの要件の明示:コンテンツを制作するためにモデルが守らなければならない要件を、キーワード、規定、ヒント、指示などの形で明示。
㉖サンプルに基づくテキスト作成:サンプルと同じ言語で書くよう指示。


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