不安とストレスの科学-起立性調節障害
メンタル系の話か〜と思われた方へ
起立性調節障害の方のなかには、精神的な助言には抵抗を抱きやすい方やそういった時期があることを、私自身、身をもって理解しているつもりです。その為、以下の内容では研究を紹介しながら、科学的に、また極力丁寧に、詳細に!そう思っていると結構長めの記事になってしまいました。
この方法でODが治るとは言いません。なぜなら私もまだ完治しておらず、闘病中だからです。(闘病というよりかは、もはや生活の一部みたいな感覚ですが、、)
また、メンタルクリニックや精神科を勧められたけど、今はまだ少し気が乗らない。そういった方にとっても一読して頂き、参考になれば幸いです。
以下では不安対策に認知行動療法を紹介しますが、ヨーク大学のヘニー・A・ウェストラ博士とダルフージー大学のシェリー・スチュワート博士は認知行動療法についてこのように述べています。
「認知行動療法はすべての不安治療における最も優れた治療法である。」
「認知行動療法は、他の種類の心理療法あるいは薬物療法よりも有効であり、実際に薬物療法を併用しない認知行動療法は薬物療法を併用する認知行動療法よりも有効だと研究でわかっている。」
それでは本題に入ります。
ODの不安対策がなぜ重要か
まだ完全には解明されていないものの、
慢性疲労と自律神経機能障害(≒起立性調節障害)には密な関係があります。
思春期、青年期における慢性疲労は世界中でよくみられる症状です。
そして、重度の疲労や慢性疲労状態の若者は、
めまい、ふらつき、吐き気、睡眠障害、痛み、精神状態の変化(ブレインフォグ)、温度感覚の変化、発汗などの症状をかかえています。
この慢性疲労の危険因子としては、
性別(女性)、年齢、運動不足、うつ、不安が挙げられています。
また予測因子としては、
夜間活動の増加、睡眠時間の短縮が挙げられています。
(危険因子とは、
ある疾患や健康問題が発生する可能性を高める要因。
予測因子とは、
将来的にある疾患や健康問題が発生する可能性を予測するために用いられる要因。)
慢性疲労に対する心理的関連性の研究
慢性疲労の経過を観察するためにオランダの学生3454人を対象にした観察研究が行われました。
その結果、
男女ともに、うつと不安のレベルが高いことが、疲労の重症度を予測する最良の因子であった。
と報告しております。
また、疲労状態が持続する若者は、調査開始時のうつと不安レベルが高いだけでなく、睡眠時間が短く、身体活動量も少なかったことが分かっています。
さらに、慢性疲労に関連した症状の増加には、
思春期における不安と身体活動量の減少によって予測された。
と述べられています。
これらの研究では、
重度の疲労がうつや不安レベルを高めるのか?
うつ・不安レベルが高いことが重度の疲労を引き起こすのか?
をはっきりとさせることは出来ないものの、
疲労・うつ・不安が相互に関連し合っていることは明らかでしょう。
疲労→うつ•不安?
うつ•不安→疲労?
いずれにしても、
起立性調節障害(自律神経機能失調)の人にとっても、
心理療法やストレス対策(過去の後悔や未来への不安対策)は重要と考えられます。
実際に、OD専門医からも、
中等症〜重症の起立性調節障害の場合は、認知行動療法を含む心理療法の必要性が述べられています。
ここでその手段として、
前の記事でも述べた認知行動療法が有効になってくる、というわけです。
はじめに紹介したように、
「認知行動療法はすべての不安治療における最も優れた治療法である。」
「認知行動療法は、他の種類の心理療法あるいは薬物療法よりも有効であり、実際に、薬物療法を併用しない認知行動療法は薬物療法を併用する認知行動療法よりも有効だと研究でわかっている。」
よって、今回は不安やストレスに対する解説と認知行動療法に関する情報を、様々な研究を根拠とし、科学に基づいて紹介していきたいなと思います。
不安・ストレスとは一体何なのか?
それらを感じた時、私たちの身体はどのように反応するのか?
それらに対する建設的な対処はどういうものか?
を理解するのにお役に立てればと思います。
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ご覧頂き感謝申し上げます。ODの方やご家族などの不安や悩みを解決する手掛りを提供したい。世間の認知度だけでなく、理解が進み、ODの方が元気に充実した生活を送れることを祈っています。私にどれだけの貢献ができるかは不安ですが、皆さんのご支援が励みになります。よろしくお願いします。