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化天の夢

木にとまって鳴くホトトギス
美しき声のあやつらはどんな夢をその声に宿しているのだろうか
夢見とはこの世界で人間だけが営むおもしろき心/脳の働きだそうだ
この未来への希望、人の個性とその時々の状況で志と呼んだり欲望と表したりもする

皆のモノ、のぶのぶである
お盆に寄せて暑い日が続くが息災であろうか
昨今、東と西でお盆の日程は異なるが、帰ってくる先祖を静かに迎えるこの習俗、みずからと繋がる生死に思いを馳せる素敵な営みだと思う

誰しもこの化天で己が夢を全て成就させた者はいない
夢の先には必ず様々なものが立ちはだかり敗北を繰り返すが、時に乗り越えたり撃破したりもする
かつてのワシの夢の成就の最大の一歩は誰もが知っておる通り、桶狭間で今川義元を打った時 
後の世で最も成功した下剋上の一つとして数えられ、ワシは下剋上の象徴ともなっておるようだ
 
勘の良いお主はもう気がついておるな
そう、今日のテーマは「下剋上」だ

一般的に下剋上とは、下位の者が上位の者を倒して身分や上下関係を壊し力を手に入れる事を表すのだが、これは日本だけでなく世界中で人間の歴史が始まる前から止むことなく今なお行われている最もエネルギッシュな行為の一つだ
ボスの座を巡る猿山の抗争など、きっと群れを作る動物には本能としてプレインストールされているものなのかもしれない

人の世では古くは神話の世界、成功・失敗様々な下剋上が語られていて、古代ギリシャでは恐らく先住民との覇権争いの下剋上が神話として語られているようだ
最古の男神ウラノスは息子クロノスに男根を切り取られ、クロノスもまた息子ゼウスと戦い冥界へ落とされその地位を追われ下剋上のバトンタッチが見られる
聖書では人間に嫉妬したルシファー/サタンが神に挑むが、返り討ちに遭い、地に落とされ下剋上は失敗
日本の古事記・日本書紀ではスサノオがアマテラスとの制約(うけひ)によって一度は勝つが高天原で暴れ、結果追い出される等、様々な政治的・風俗的な適者生存のストーリーが展開されている

漫画・アニメの世界でも下剋上はよく描かれる
ワシが好きな下剋上は「北斗の拳」に出てくる聖帝サウザーだ
下剋上、その掟で師父のオウガイを倒す事で伝承者になるのだが、その悲しみの深さゆえ覇道・修羅の道を歩むんだが、ワシが気に入っているのはケンシロウの奴への言葉、「哀しみや苦しみだけではない、おまえもぬくもりを覚えているはずだ」
下剋上を味わうモノには人それぞれ異なる末期の悟りがあるのだと思う

現代社会にとって下剋上とはどんな状況が考えられるのだろうか
実は今は下剋上オンパレードの時代に突入している

下剋上とは社会の仕組みがその機能を果たせなくなった時、新陳代謝を促す様々なエネルギーが芽生え作り変えてゆく一連の流れの中のプロセスとも言える
時代の変化を告げるキーワードは数多ある

昨今「女性性の時代」とよく言われる
ただでさえ強い女性がこれから更に表舞台で活躍してゆくのであろう
亭主関白などと言っておる呑気なモノ共よ、関白は天皇にかしずくNo.2の事だぞ
かかあ天下の時代にお主はどう振る舞えるのか

また今を「資本主義の終焉」とも囁かれる
数値化出来ない人の想いや夢がより解像度が高いモノへ姿を変え、やり取りされ始めている
農耕を始めた時にインストールされた蓄えへの豊さの幻想はこれから消え、活用できてない個々人の「好き」や「得意」が目の細かくなったザルで掬われるような感じになる

あと「デジタル・AI時代の到来」とも語られる通り、パワー・スピード・生産性などこれまで機械にシフトしてきたものが段違いに加速し、思考や感性など更なる“明け渡し”が加速するだろう
人力が馬力に変わり、自動車・列車から自家用ドローンの時代へ移行するのはその象徴だ
象徴的と言えば、インドのカースト制度はIT産業界の頭脳勝負の下剋上世界に風穴を開けられたのは記憶に新しいだろう

最近強盗が増えているのも経済の停滞や警察力の低下だけでなく、盗ったモノを個人がネットで簡単に捌けるようになったからだと思う
指定暴力団などのヤクザ組織の分裂・弱体化などは背景にはちょっと賢いチンピラの方が儲かる状況というのもきっとあるに違いない

今挙げたそれぞれに共通している事は「-自分で出来る-」だ
組織にいないと出来ない事はこれからどんどん溶けてゆき、この下剋上の流れはこれからも加速するであろう
この下剋上の扉は個人が夢を描くことで開かれるし、お主もそれに誘われている
その扉の向こうには希望も失敗もあるだろうが、それを開けるのはお主が描いた夢や志に委ねられているのだ

と言うわけで、今日はここまで
皆のモノ、また会おう

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