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デザイナーになるために

服のデザインを学びはじめ、初めて行った展示会が2003年の「ヒロコ コシノ」の展示会@大阪でした。

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https://www.kh-gallery.com/profile より引用

母と、母の友人と一緒に行った展示会。そこでわたしは度肝抜かれました。

テレビでいろんなコレクションを見たことはあるものの、プロが作る美しいドレスや服を間近で見るという経験は初めてで、一つひとつのアイテムの大きさや、想像以上のゴージャスさに圧倒されました。

「これは人間の手仕事なのか…」

と感動しながら母たちの元を離れ、一人で会場を色んな角度から見まくっていました。するとそこに光を纏ったような人が、大勢の方といっしょに現れました。

オーラがちがう

「ある人がこの空間に居るだけでなんか緊張する」という、「空気が変わる不思議な瞬間」みたいなのを目の当たりにし、「あ、この人がコシノヒロコだ」と瞬間的に察知。そして一人でぼーっと大人たちを眺めているわたしに関係者の方が話しかけてくれました。

「一人で来たの?とか綺麗でしょ?」とか、うれしそうに語る人。

「わたし、将来デザイナーになりたいんです!」とその人に告げると、「まぁ!」という表情。そしてヒロコさんのところへ行き、「将来デザイナーになりたいみたいです、ふふふ」と話してくれたのです。

そしたら光を纏った人が近くへ来てくださって、

「どこで学んでいるの?デザイナーになるためにはしっかりと服の構造を理解していないといいデザインは生まれませんよ。パタンナーになるのがいいわ。しっかり勉強をしてくださいね。」

と言い、ニコニコのまぶしい笑顔を残して足早に会場内を見て行かれたのです。

「パタンナーなんて裏方の仕事はやだなぁ、ヒロコさんみたいに表舞台に立ちたいもん、デザインが好きだもん!」

というささやかな反抗心を抱きつつも、あの「すさまじいオーラに圧倒された」という記憶は脳裏にこびりつき、「パタンナーになったほうがいいのかなぁ…」という小さな波を、思考の中に生み出したのです。

※パタンナーというのは、デザイナーが描く絵を元に「服を立体的に形作る人」のことです。主に製図とにらめっこするので、服の建築士みたいなイメージが近いと思います。1mm単位で線を引く、服作りにおける職人です。

未来での再会

それから数年の後。わたしは東京のアパレル会社に「パタンナー」として就職しました。全ては彼女が伝えてくれた「いいデザインを生めるデザイナー」になるため。服の構造をしっかりと理解し、「どうやって服が成り立っているのかを心底学びたい!」という気持ちからでした。

そしてその会社は、

「ヒロココシノインターナショナル株式会社」でした。

そうです、わたしが2003年に出会った、彼女の会社です。

こうしてわたしは「デザイナーになるためにパタンナーとして就職する」というステップを踏むことにしたのです。

そして約8年間「ヒロコビス」というブランドでパタンナーとして従事した後、「今がタイミング!」と思い、オーダーメイドのウエディングドレスの仕立て屋さんとして独立しました。理由はいろいろありますが、「1度しかない人生、やりたいことに挑戦したい」という素直な気持ちが大きかったためです。

独立後はたくさんのウエディングドレスや舞台衣装を仕立てさせていただいています。マーガレット・ハウエルさんやMHLさんにもアシスタントとしてお世話になったりしながら、自分の夢に向かって歩みを進めていました。

そして突然ふりかかった、
「パートナーの白血病の闘病」

この経験はわたしの更なる挑戦心を掻き立てるものとなりました。

新しい挑戦

闘病のサポートを通じて知った医療現場での「服」の在り方と重要性。着替えの負担と負荷。そして着替えの危険性。

考えたことのない、体験したことのないことばかりが降りかかり自分を見失いかけましたが「デザインで解決できることってある!」と自分を奮い立たせ、パートナーの協力のもと「様々な課題を解決するデザイン」を生み出しました。

近々この服に関する取り組みを、白血病を乗り越えたパートナーと共にスタートさせる予定です。

愛情たっぷりのデザインは、広く世界に浸透していくデザインとなり「入院服のスタンダード」になると思っています。(そうなるように広める努力をして参ります!)

「デザイナーになるためにはしっかりと服の構造を理解していないといいデザインは生まれませんよ。」

こう話してくれたコシノヒロコさんが居たから、着心地や用途の「パタンナー的視点」から服の構造を見直すことができ、新しい発想を柔軟に持つことができたんだなぁ…と思います。

2003年に出会えてよかったです。

今回のnoteも読んでくださってありがとうございます。
すごく、すごく、うれしいです。

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