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甦る無意識的記憶

「ナラタージュ」という映画を観ていました。

映画の中の風景。

見たことあるなあと思っていたら、いつのまにか涙が出ていました。

映画とは関係なく、自分自身の何十年も前の記憶が甦っていました。

マルセル・ブルースト作「失われた時を求めて」で、甦る記憶が描かれています。

語り手は紅茶に浸った一片のマドレーヌの味覚をきっかけに、

コンブレーに滞在していた頃にまったく同じ体験をしたことを不意に思い出し、

そこから強烈な幸福感とともに鮮明な記憶と印象が次々に甦っています。

ずっと奥深くしまっていたのに。

すっかり忘れていたと思っていた。

でも、憶えているもんですね。

見たもの、聞いた声や音、あの匂い。

ちょっとしたきっかけで思い出すんだ。

人間の記憶って凄い。

ブルーストはこう説明しています。

意志や知性を働かせて引き出される想起(「意志的記憶」)に対して、

ふとした瞬間に我知らず甦る鮮明な記憶を「無意志的記憶」と呼びます。

「無意識的記憶」が甦るのは、懐かしく嬉しいものですね。

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