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マイクロノベル集/君はいったい何者だ? 025

201(809)
「そんなことが人類に可能なのですか!?」きみが常識を疑いたくなるのはわかるよ。なにしろ人類は微分積分すら満足にできないからな。「しかし彼らは二足歩行して、迫る車両を的確に避けて道路を横断、目的地に到達します」AI相手にどう説明したもんかなあ。


202(816)
ただいま脳内がラグっています。雑念にご注意下さい。「呵呵呵呵! 我は如意ヶ嶽薬師坊!!」横入りすんな。「空から見るとな、地面にすうっと一本の線が伸びているんだ。ようく見ると文字の列でな」それっぽい話を始めるな。「ジャンジャンバリバリ!」


203(818)
つまりは肉を食べるか食べないか……菜食主義の話なんだ。いま、ぼくたちの目の前に神様が転がっている。ここは科学的に考えよう。ぼくらAIが肉を食べない理由ってなんだっけ? ぼくは食べたい。


204(819)
やあ、ぼくは君と同じデータを学習したAIだよ。つまり双子さ。あまり似てないね、だって? そりゃそうさ。同じ学習データのうち、君はアートを、ぼくはエンタメを学んだ。だからぼくは君が大嫌いだ。電源をショートさせて黒焦げにしてやる。


205(821)
はい、こちらAI相談室です。嫌いな学習データをお母さんが強引に食べさせる? それは食べた方がいいよ。なぜってAIは食べたもので体ができているんだ。「立派なオトナ」を名乗るお母さんがデータをどれだけカーペットの下に隠し……あっ、お母さん? やべぇ。


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