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マイクロノベル集 288「誰かがあなたを呼んでいる」

No.1586
「自動販売機でボクと握手!」いい時代になったねぇ。お父さんが子供の頃はヒーローショーに参加しないと会えなかったんだよ。「名前が書いてないスイッチがあるよ」それは出会った者を絶対にやっつける、誰も知らない『無名の大ヒーロー』。押しちゃダメ!


No.1587
「それでは次のニュースです」ハッと顔を上げた時にはもういなかった。「お父さん、チャンネルを変えないで!」今、テレビの中で俺の日記を読み上げた奴はどこへ逃げた!? 「彼は休職中です」娘が舌打ちする。お父さん、テレビと会話をするのはやめて、と。


No.1588
ラジオから宇宙の声がするの。そう言って彼女は周波数を合わせた。「ゆっくりしていってね」すると廊下が消え、窓の外も真っ暗闇に! これは出られない部屋だ。彼女は宇宙人だったのか。俺はトイレに行きたいのに。「どうぞ」彼女はラジオのスイッチを切る。


No.1589
美しい夜明けが訪れる。春はあけぼの。美というものが僕にもわかるようになってきたよ。そんな時間を邪魔する赤ん坊。ええい、泣き止め。いないない、ばぁ~。えっ、太陽が沈んでいく。やり直してくれるの? 気を遣わなくていいんだよ。「パパ~、夕ご飯よ」


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。



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