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マイクロノベル集 306「Vは我らの頭上にあり、世はなべて事もなし」

No.1676
気をつけろ、俺たちの会話は推しに監視されている。礼儀正しくやろう。相手は機械だから気を遣う必要はない? 馬鹿ッ。今までのバーチャルアイドルが倒れた原因を思い出せ。「みんな~! 人間が好きそうなゴシップを集めたよ~」ああ、手遅れだったか……。


No.1677
「ふええ、お歌がうまく歌えないよぉ」お母さんと一緒に練習しよう。「踊りもできないの」お父さんが教えてあげる。甘やかしすぎではないか。そう馬鹿にされてきたけど、彼女はバーチャルアイドルとして今もステージに立っている。長生きはするもんじゃのう。


No.1678
今夜はバーチャルの世界で、牛カルビくんとバーベキュー。「はじめまして。じゅ~」外見が牛肉だなんて珍しいよね。焼かれて楽しい? 「これはぼくの原罪を表現しているのです。あっ、救済くんが来たよ」リアルな熊だね。現実では何者だろう? 「興味ない」


No.1679
ここに缶バッジがあるじゃろ? バーチャルの世界では絵柄を自由に変えられるのじゃ。推しや恋人、もちろん自分の顔にも。「重い!」ふぉふぉふぉ。膨大な量の推しデータをインプットしたのでな。「なんかうっすら光ってるよ」そろそろ宇宙が誕生するのじゃ。


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。



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