見出し画像

マイクロノベルちょいす 054「悪魔の不平不満」

No.1228
ロクな人間がいないな。ああ、お嬢ちゃん。なにか欲にまみれた願い事はないかい? お腹いっぱいうまい棒が食べたいのかー。いま何円だっけ? えーっと……たくさん儲けたし百本買ってあげる。「悪魔のおじちゃん太っ腹!」太っ腹になるのはお嬢ちゃんだよ。


No.1263
悪魔の仕事はイカサマだ。転んだ者を助けようと手を出すか、それとも笑うか。人間が持つ善意と悪意のバランスを操作するのさ。「悪魔おじちゃん、そんなにたくさんのお酒をどうしたの?」わからん。迷子の黒猫がたくさんいたから餌をやったら、人間がくれた。


No.1267
愛らしい少女が天使の格好で歩いています。素晴らしい。悪魔が住むこの街での、私たちの活動が実を結びましたね。「悪魔おじちゃーん」あっ、なんで天使である私を無視して悪魔とお喋りしている!? 天使の頭を撫でるな! かわいいねー、じゃないだろ!!


No.1271
朝目覚めると俺が三人になっていた。これだけいれば悪魔の仕事がはかどるかな?「人間が捨てたゴミという名の悪意の研究を提案する」「謎のトラックが魂を横取りしている。交通警備をしよう」「受け入れることこそが幸いなのです」この中に一人、天使がいる!


No.1286
まとめると、だ。地球は平面で、太陽は地底にある。そして、この世界は偉大なる宇宙人が作ったバーチャル空間で、その綻びが時々出現し、空が割れたり海の水が赤くなったりする……。あのな、叶えられる願いは一つだ。「なにぃ、私は神だぞ!」俺は悪魔だよ。

この記事が参加している募集

眠れない夜に

SF小説が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?