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マイクロノベル集 327「それ、ぼくの!」

No.1786
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんは山へ芝刈りに。「洗濯はわしが山の川でやっておくから、婆さんは休んでおれ」「すみませんねえ」めでたしめでたし。このお話の教訓? 他人の仕事を奪っちゃだめってことかな。知らんけど。


No.1787
「こら、これはお父さんのかき氷!」違います。これはシロップです。涼しげで美味しそうだったから、グレードアップさせました。ほめて。「こんなにヨダレでベタベタにして。へらへら笑うな、ジョン!」でへへ。もうすぐかき氷が食べられると思ったら、つい。


No.1788
あそこはオレの土地だったんだ。たかが川が氾濫し、オレの社が流されたからといって奪い取られてなるものか。小賢しい人間共が近寄ってくる。お前たちは知っているか? その貧弱な手で握った複雑怪奇な道具がどんな力で動いているか。神鳴る力を見るがいい。


No.1789
あいつはヘタだなあ。奪い取る必要なんてないのに。ましてや働いた見返りを求めるなんて。スッと入り込めば良いんだよ。方法も余地もない、だって? 思い込ませれば良いのさ。こいつには価値がある、ってね。「この猫、いつも寝てるなあ」それで良いのさ。


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。




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