マイクロノベル集 312「やねよりたかい」
No.1706
やねよーり~たーかーい~こいのーぼーり~。おい、もうちょっとあがれよ。うるさいな、がんばってんだよ。あわわっ、しっぽをひっぱるのはだれだっ。こどもかあ。じゃあ、しかたないな。しばらくは屋根の下にいようかな。がんばるのはおひるからにしよう。
No.1707
「おさかな!」小僧、魚ではない。オレ様は雨の日に屋根より高く昇ったら龍になったこいのぼりだ。本当は滝を登る必要があるんだけど、結果オーライ。「アッくん、あれは鯉よ」お母さん、龍です。「サンマが食いたいなぁ」秋にはまだ早いですよ、お父さん!
No.1708
今日は日本中でたくさんの鯉が泳ぎます。でも、化けた狸が混ざっているから気をつけて。「どうやって見分けるんだい?」偽物はしっぽを噛めば悲鳴を上げます。「ははは。そんな嘘に騙されるものか」もしもし、警察ですか? うちの鯉のぼりを食べる不審者が。
No.1709
なんだ、小さな鯉のぼりだなあ。どれ、爺ちゃんが一肌脱ごう。まず布に絵を描いて、筒状にして、完成! 立派なもんだろう。よし、風に泳げ!! あれ、なんだか急に……体が重い……。「おじいちゃん、バーチャル管理局が勝手に風洞実験するなって怒ってるよ」
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