マイクロノベル集 265「かぐや姫のお別れライブ」
No.1477
お爺さんが山に入ると、なんということでしょう、竹が光っておりました。「これはプロジェクターの光か、それとも透明フィルム型LEDか」いいえ、中にかぐや姫が入っているから光っているんです。「光が竹を通過するとは思えない」いいからさっさと切れ。
No.1478
もうっ、お爺さんが竹を雑に切ったから形が変形して、綺麗な声が出なくなったじゃないですかっ。「ごめんごめん。でも絶対音感を持っている人はほとんどいないから大丈夫だよ」じゃあなにが重要なの? 「音色だよ」つまり色仕掛けってことね。「言い方」
No.1479
かぐや姫は国中の男性たちから求婚されました。「無限の音階が鳴るピアノを作った者と結婚しましょう」こうしてピアノはわずか三年で木製から鉄製へ、そしてシンセサイザーへと、科学の歴史を無視して発展しました。「どーもー、タイムパトロールでーす」
No.1480
時空警察。時を超える犯罪者を追跡するために、時間感覚に優れた月面都市の住人が選出されたのだ。「お別れの前に歌います」やめろ、歌声とピアノがコンマ二秒ずれているぞ! 「わはは。エリートさが裏目に出たな。二時間のお別れライブ、たっぷり楽しめ」
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